2003 Fiscal Year Annual Research Report
西オーストラリア乾燥地に生育する樹木の電気接地抵抗の調査・研究
Project/Area Number |
12574021
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Research Institution | SHINSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山浦 逸雄 信州大学, 繊維学部, 教授 (70191202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 興一 信州大学, 繊維学部, 教授 (10260499)
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Keywords | 西オーストラリア / 乾燥地 / 接地抵抗 / 樹木 / 等価半径 / 半径比 / 地球温暖化防止 / 緑化支援研究 |
Research Abstract |
本年度も引き続き従来から測定を継続している場所で樹木の接地抵抗の測定実験を行うとともに、研究計画最終年度に当たり今までに得られたデータを総括し、地球温暖化防止のための緑化支援研究に資する結論の導出を行った。西オーストラリア半乾燥地レオノラ近郊のスタートメドー(STM)牧場、西海岸付近の乾季と雨季の明確なツーロックスとコリー、一方大地が溶岩からなるハワイ島と土壌が湿潤な地域である日本で測定した結果の比較を行った。測定対象となった樹種と総本数は、STMで8樹種25本、ツーロックスで1樹種9本、コリーで1樹種11本、ハワイ島で9樹種13本である。評価にはすでに提案されている根の等価半径r_eと実半径rの比である半径比r_e/rを用いた。半径比r_e/rは理論上1.0以上になると考えられたが、STMとコリーでは0.5以下、ツーロックスのツアートでは0.5以上であり、日本固有の樹木ケヤキは最低で0.5付近であった。ツアートは他の樹木に比べいずれも巨樹であり、半径比の最小値は一番大きかったが、これを除けば土壌が乾燥した地域における樹木の半径比は日本に比べていずれも小さめとなった。ハワイの溶岩台地でも半径比の最小値は0.5以下であり、乾燥地に準じた低い値が出ている。乾燥地またはそれに準じる土壌をもつ地域にこのように半径比の小さい樹木が存在する理由として次が考えられた。乾燥地では一度根の組織に取り込んだ水分を土壌へ逃がさないための強固な機構が根の表皮にあり、これが電気的に高いインピーダンスをもつために半径比が小さくるのではないかということである。このことから、乾燥に強く地球温暖化防止に寄与する樹木の性質として、半径比の小さいことが重要であると考えられた。それと同時に生長速度が速く、大樹になることのできる樹木が地球温暖化防止に役立つ樹種であるとみなすことができる。
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[Publications] 山田美紗子, 田中京子, 山浦逸雄, 矢嶋征雄: "植物の電気抵抗測定による根の発達評価法"第18回根研究集会予稿集 ポスター9. (2003)
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[Publications] M.Yamada, I.Yamaura, K.Tanaka, M.Yajima, N.Takahashi, K.Yamada: "Vector Locus of an Equivalent Radius of the Root in Growing Plants"Proceedings of the 20^<th> IEEE Instrumentation and Measurement Technology Conference. II. 1294-1297 (2003)
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[Publications] 矢嶋征雄, 渡辺泰光, 柳沢勝人, 庄村茂, 茅野誠司, 小山田慎吾, 佐藤俊一, M.Torra-Reventos, 山浦逸雄, 山中茂: "シナノグルミ(Juglans regia L.)人為4倍体の減数分裂と花粉の性状"園学誌. 72巻,2号. 134-140 (2003)
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[Publications] 福馬均, 田中京子, 山浦逸雄: "樹木の接地抵抗測定における電極配置について"計測自動制御学会中部支部シンポジウム. 59-60 (2003)
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[Publications] 山田美紗子, 林大地, 上條岳穂, 田中京子, 矢嶋征雄, 高橋伸英, 山田興一, 山浦逸雄: "半乾燥地に生育する樹木の根の接地インピーダンスに関する研究"日本エム・イー学会甲信越支部長野地区シンポジウム講演論文集(2004上田). 1-2 (2004)
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[Publications] 高橋伸英, 藤原尚, 山浦逸雄, 山田興一: "電気インピーダンス測定による植物水分状態の評価"日本エム・イー学会甲信越支部長野地区シンポジウム講演論文集(2004上田). 3-4 (2004)