2002 Fiscal Year Annual Research Report
南米の狩蜂、エピポナ類における高次社会進化、特に分蜂創設と多女王制の進化の研究
Project/Area Number |
12575004
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Research Institution | IBARAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山根 爽一 茨城大学, 教育学部, 教授 (40091871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 嘉昭 名古屋大学, 名誉教授 (50115531)
小島 純一 茨城大学, 理学部, 教授 (00192576)
塩見 正衛 茨城大学, 理学部, 教授 (80250976)
宮野 伸也 千葉県立中央博物館, 動物研究科, 科長(研究職) (20250152)
土田 浩治 岐阜大学, 農学部, 助教授 (00252122)
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Keywords | 南アメリカ / アシナガバチ亜科 / エピポナ / 昆虫の社会進化 / 分蜂創設と独立創設 / 多女王制 / DNAによる血縁度推定 / 巣材のアミノ酸組成 |
Research Abstract |
平成14年度は、これまでに収集した資料の分析と整理、特にエピポナ類の一種、P.paulistaのコロニー内血縁度の推定(1)と、数種のアシナガバチ類の巣材のアミノ酸分析(2)に重点を置いた。また、リベランプレト市及びその周辺で化学分析用の巣を追加採集すると共に、ヒメホソアシナガバチの初期巣の行動学的・生態学的観察を行った(3)。さらに、アマゾン上流に位置するアクレ州のアクレ大学保護林で、熱帯性エピポナ類各種の社会行動を観察し、現地の研究者と今後の研究協力関係について相談した。 (1)コロニー内の個体間血縁度の推定:完成したプライマーを用い、マイクロサテライト法によるDNA解析をほぼ終えた結果、コロニー発達のどのステージでも成虫個体間の平均血縁度および巣内の各巣盤毎の幼虫・蛹の血縁度などの平均血縁度は極めて低く、常に相当数の女王が産卵していると推定された。この事実は、従来の多女王制コロニーでの観察に基づく周期的女王少数化説では説明不可能であり、新たな仮説を構築した。 (2)巣の構造と巣材(特に口内分泌物)のアミノ酸組成:ヒメホソアシナガバチ3種とProtopolybia exiguaに加え、Polistes satan、Polistes simillimusの巣を新たに採集し、Polistesを除く全種で分析がほぼ終了した。種/グループ間比較によると、アミノ酸組成は同一種内では均一で、同一属内でも類似するが、属間では異なるなど、系統関係を反映した。 (3)ヒメホソアシナガバチの初期巣について、創設メス数と最初の羽化メスの体サイズの関係を調べた(宮野・山根)。また、創設メス数の分布を"切れた分布"モデルによって解析した(伊藤・塩見)。 (4)以上を総括し、"アシナガバチ亜科における多女王制の諸問題"と"アシナガバチ研究の到達点"をまとめた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 宮野伸也: "アシナガバチ研究の到達点(1),(2)"昆虫と自然. Vol.38, No.3,4. 37-41, 38-40 (2003)
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[Publications] 伊藤嘉昭: "真社会性昆虫とくにアシナガバチ亜科における多女王制をめぐる諸問題"Japanese Journal of Ecology. Vol.52. 355-371 (2002)
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[Publications] Carpenter, J.M., Kojima, J.: "A new species of paper wasp from Costa Rica (Hymenoptera : Vespidae : Polistinae, Epiponini)"Journal of New York Entomological society. Vol.110. 212-223 (2002)