2000 Fiscal Year Annual Research Report
スラウェシマカクの種間雑種個体の繁殖異常と狭い交雑帯の形成機構
Project/Area Number |
12575005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邊 邦夫 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (60158623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 俊二 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (90093343)
榎本 知郎 東海大学, 医学部, 助教授 (80056316)
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Keywords | スラウェシ・マカク / 種間雑種 / 繁殖異常 / 交雑帯 |
Research Abstract |
中部スラウェシ州のパンギビナンゲア保護林において、スラウェシマカク二種トンケアンマカクとヘックモンキー間の雑種個体群に関する現地調査を行った。今年度は交雑帯の中心部で餌付けを行い、餌付いた二群の個体識別をして、繁殖等に関する継続観察のための基盤整備を行った。この二つの群れは34頭と38頭以上の個体からなるが、いずれもオトナオスが多数含まれる群れであった。これまでの観察から雑種群の子供の数が少ないことが期待されたが、一群は14頭の1〜4才の子供を含み、もう一群は4才以下の子供は少ないけれども10頭程度のワカモノを含んでいた。いずれの個体も母種の特徴が混在した雑種個体であるが、多数個体が皮膚病を病んでいるおり、また外部寄生虫におかされている個体も多い。顔面に非対称なゆがみのある個体や、ひどい場合には下顎が大きすぎて噛み合わせがうまくできない個体も存在した。今回は新生児を見ることが無かったが、あるいは繁殖の季節性がこの地域では認められるかもしれない。両群の25頭ほどのオトナメスを識別したが、乳首の形状からほとんどの個体は繁殖に参加したことが明らかになった。今後この二群を継続観察して、こうした雑種個体群がどのように維持されているのかを明らかにしたい。 前年までの調査から雑種個体のオスでは精子形成がうまく行われていないということが明らかになっているが、母種からのコントロールのためのサンプルを得る必要があり、100kmほど北方のタンブにおいてヘックモンキーの捕獲調査を行った。今年度の捕獲数は5頭であるが、前回までの分とあわせてほぼ十分な量を得ることができた。
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Research Products
(1 results)