2001 Fiscal Year Annual Research Report
メキシコ産ステビア属における有性生殖・無性生殖型の変異と進化
Project/Area Number |
12575010
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
矢原 徹一 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (90158048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
副島 顕子 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (00244674)
河原 孝行 森林総合研究所, 北海道支所遺伝研究室, 室長 (90221902)
渡辺 邦秋 神戸大学, 理学部, 教授 (80031376)
三島 美佐子 基礎生物学研究所, 特別研究員
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Keywords | ステビア / 有性生殖 / 無性生殖 / 遺伝的変異 / 種分化 |
Research Abstract |
メキシコ産ステビア属では、99種のうち42種に無性生殖(無融合生殖)が見られる。これらのうち、無性型と有性型がともにふつうに見られるStevia origanoidesとその近縁種をメキシコ各地で採集し、その形態・染色体・分子系統を調査し、これらの比較研究から、無性生殖型が各地で繰り返し起源し、その結果有性型がそれぞれの場所で特殊化をとげたという仮説を検証するのが本研究の目的である。 形態・染色体数・分子系統に関する研究のためあ資料を収集するため、11月15日から12月4日までの約20日間、メキシコにおいて野外調査を実施した。この調査では、以下の地域において高度差の大きな環境勾配にそってトランセクト調査を行ない、生株・標本・DNA資料を採集した。 (1)Toluca-Moreliaルート (2)Talpa-Mascotaルート (3)Chilpancingo-Atoyakルート これらのルートに沿って、標高100m程度の間隔で生株のサンプリングを行い、染色体数を調査した。現地において形態的に区別できる型が見られた場合には、それらを区別して採集した。3つのルートのいずれにおいても、無性型に加えて、形態的・生態的に異なる2つの2倍体有性型が見い出された。これら計6つの2倍体有性型は、それぞれ独自の形態的特徴を有し、それぞれの場所で特殊化することによって種分化を遂げた可能性が高い。すでに、12年度の調査において、6つの2倍体有性型を発見しており、Stevia origanoidesは各地で活発に種分化を起こしていることが明らかになった。Stevia origanoidesにおいて有性型が広く見られるのは、新しい環境への適応進化をともなう種分化が継続的に起きており、適応進化速度の早い有性型が有利な条件が持続しているためだと考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Watanabe, K., Soejima A., Yahara, T., Ito M.: "Mexican species of the genus Stevia (Eupatorieae, Asteraceae). Chromosome numbers and geographical distribution"Plant Species Biology. 16. 49-68 (2001)
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[Publications] Soejima, A., Yahara, T., Watanabe, K.: "Distribution and variation of sexal and agamospermous populations of Stevia (Compositae : Eupatorieae) from Mexico"Plant Species Biology. 16. 91-105 (2001)
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[Publications] Soejima, A., Yahara, T., Watanabe, K.: "Some new species and combinations of Stevia (Compositae : Eupatorieae) from Mexico"Brittonia. 53. 377-395 (2001)