2000 Fiscal Year Annual Research Report
亜熱帯オセアニアのマングローブ湿地におけるムツゴロウ・トビハゼ類の生存戦略
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12575023
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
石松 惇 長崎大学, 水産学部, 教授 (00184565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 達右 九州大学, 農学部, 助教授 (30091367)
征矢野 清 長崎大学, 水産学部, 助教授 (80260735)
田北 徹 長崎大学, 水産学部, 教授 (30039721)
河口 定生 九州大学, 農学部, 助教授 (20091366)
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Keywords | 潮間帯 / Periophthalmus minutus / トビハゼ / オセアニア / 魚類生態学 / マングローブ / 窒素循環 / 土壤微生物 |
Research Abstract |
北部オーストラリアのダーウィンを中心に、トビハゼ・ムツゴロウの種類相と生息状態を調査した。その結果、これまでに5属9種の生息を確認した。このなかに、Periophthalmus属の1未記載種が含まれ、Apocryptodon属の1種は、その形態の検討から、従来言われている種とは違う種である可能性が高く、分類学的再検討を要することが分かった。 P.minutusの巣穴は避難場所として使われるY型と産卵用のJ型がほぼ同じ比率で存在した。巣穴の出入り口は2個あり、多くの場合高さ3cmの煙突状で、巣穴の深さは約40cmであった。調査地は2週間の潮汐において約7日、1日に1回だけ潮が大きい時に最大60cmしか水没しない干潟である。したがって巣穴内の水の塩分は56±6‰と高く、泥は深さ30〜40cmまで酸化的で灰色を呈し、水中にアンモニアはほとんど存在しなかった。このように水の少ないきびしい環境でP.minutusが如何に生活し再生産を行っているのか興味が持たれる。なお今年度の調査では、P.minutusの卵の発見には至らなかった。 陸域近くに生育するマングローブ林:Ceriops tagal・Avicenia marinaを皆伐した干潟における,トビハゼ類P.minutusの造巣活動が干潟の窒素循環に関与する微生物相に及ぼす影響を検討した。干潟の巣穴密度は240/haと低いが、塩生植物が生えた場所で巣穴密度が上昇し、14,720/haの巣穴が観察された。その巣穴壁の面積は、干潟の1ha当たり、353m^2を占めた。巣穴壁土壌(0-5mm)の窒素循環に関与する微生物:アンモニア酸化細菌、脱窒菌、窒素固定菌の菌数は、干潟表層土壌(0-5mm)10倍ほど、干潟全層の100倍であった。巣穴壁土壌の占める面積とその菌数の大きさから、トビハゼ類P.minutusが造成する巣穴構造は、干潟の窒素循環に表層土とほぼ同等の寄与を果たすと推察された。
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