2002 Fiscal Year Annual Research Report
亜熱帯オセアニアのマングローブ湿地におけるムツゴロウ・トビハゼ類の生存戦略
Project/Area Number |
12575023
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
石松 惇 長崎大学, 水産学部, 教授 (00184565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 達右 九州大学, 農学部, 助教授 (30091367)
征矢野 清 長崎大学, 水産学部, 助教授 (80260735)
田北 徹 長崎大学, 水産学部, 名誉教授 (30039721)
河口 定生 九州大学, 農学部, 助教授 (20091366)
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Keywords | 潮間帯 / Periophthalmus minutus / トビハゼ / オセアニア / 魚類生態学 / 浸透圧調節 / 魚類生理学 / 塩類細胞 |
Research Abstract |
2002年7月に、オーストラリアの北東岸に位置するCairns、北岸に位置するDarwin、北西岸に位置するBroomeとDerbyのマングローブ干潟で採集調査を行い、同国北部の熱帯・亜熱帯域における分布相の大略を明らかにすると共に、3種の未記載種を発見した。今後の精査により、これらの発表を行う。 Darwin近郊に棲息するPeriophthalmus minutusの個体群調査により以下の知見が明らかになった。P.minutusは、乾季に潮汐により、雨季に潮汐と雨により潟表面泥の水分が30%以上に保たれると昼間に巣穴から出て活動し夜間は巣穴に戻った。表面泥の水分が25%以下になると昼間でも巣穴から出なかった。巣穴水の塩分は乾季に58-82‰、雨季には27-65‰であった。潟面の水溜りの塩分は乾季に65-97‰、雨季には7-40‰であった。室内実験では、75‰で1週間斃死せず、95‰。で2-3日後に全魚斃死した。乾季と雨季の魚の間に塩分耐性の差はなかった。巣穴の形は22個中20個がJ型で、同一巣穴に雌雄が同居する巣穴が多数見られた。これらの巣穴から卵と仔魚が採集された。したがって、2月は産卵期であると考えられる。 P.minutusは、その巣穴形成により、周辺土場の土壌のpH.や有機物含量を低下させ、また、土壌酵素活性を変動させていることが明らかになった。
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