2001 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯海草藻場の沿岸生態系における機能とその保全に関する研究
Project/Area Number |
12575032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小池 勲夫 東京大学, 海洋研究所, 教授 (30107453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯泉 仁 北海道区・水産研究所, 室長(研究職) (00159550)
野島 哲 九州大学, 理学部, 助教授 (30112288)
向井 宏 北海道大学, 理学部, 教授 (00013590)
仲岡 雅裕 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (90260520)
小暮 一啓 東京大学, 海洋研究所, 教授 (10161895)
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Keywords | 熱帯海草藻場 / 干出ストレス / 移植実験 / 光光合成曲線 / マングローブ / 潮汐流 / 窒素循環 |
Research Abstract |
本年度はタイ南部の沿岸藻場の現地調査を、計3回共同研究グループであるタイのカセサート大学の研究者と共に行った。これらの現地調査による海草藻場の機能とその保全に関する研究での研究実績は以下のとおりである。 1)熱帯海草藻場の特徴は,狭い範囲で複数種が混生することであるが,種ごとに鉛直方向の分布の異なりが見られ、調査地においては、浅所にCymodocea rotundata,深所にSyringodium.isoetifoliumが単独で分布し、その中間にはC.serrulataが卓越する混成帯が分布している.上限に関して干出ストレスとの仮説をたて、移植実験でその検証を行った。潮下帯から潮間帯への移植の結果、垂直ライゾームが長いC.serrulataや葉が円柱形であるSyringodium.isoetifoliumの株数が激減したのに対し,葉が平板であるため干出時に底質に横たわり、乾燥を防ぎやすいと考えられるC.rotundataの生残率は高かったことから仮説はほぼ正しいと考えられた。一方下限は光の低下と種による光光合成曲線の違いが考えられるがこれまでそれを積極的に支持するデータは得られていない。 2)タイの河口域から潮間帯にかけては、MalgroveとSeagrassを中心とした生物群集構造が形成されているため、伐採や護岸工事によって特定の生物相の現存量が大きく変化すると、生物間のバランスが大きく崩れることが危倶される。そこで生物群集がどのように維持され相互関係をもっているかについて窒素循環の観点から理解するために、潮間帯に生息する海草や濾過食動物の利用する栄養塩類(IN、DOM、POM)の供給源と供給過程の調査(化学分析と物理調査)を行った。その結果、河川水を通して直接流入する陸源やマングローブ起源の有機物や栄養塩よりも、潮間帯堆積物からの巻き上がりによって2次的に水柱に供給される方が、面的にも時間的にも大きな影響を与えていることが示唆された。更に、堆積物の巻き上げ営力としての風速と潮汐流の寄与をパターン別に明らかにすることが出来た。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kuramoto, T., Minagawa, M.: "Stable carbon and nitrogen isotope characterization of organic matter In a amngrove ecosystem on the southern coast of Thiland"Journal of oceanography. 57. 421-431 (2001)
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[Publications] Yamamuro, M., Umezawa, Y., Koike, I.: "Seasonality in nutrient concentrations and stable isotope ratios of Halophila ovaris growing on the intertidal flat of SW Thailand"Limnology. 5. 199-205 (2001)
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[Publications] Nakaoka, M., Iizumi, H.: "Magnitide of within-patch variation in seagrass Halophila ovaris Growth affected by adjacent T.hemrichii vegetation"Ecological Research. 15. 415-424 (2000)
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[Publications] Nakaoka, M., Toyohara, T.: "Effect of seagrass patch structure on the mobile epifaunal community In a subtidl seagrss meadow in Thailand"Benthos Research. 55. 53-61 (2000)
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[Publications] Komatsu, T., Nakaoka, M.: "Water flow and sedimentation rate in seagrass beds off Khao Baena in Tranog Province, Thailand"Biologia Marina mediterranea. 7. 240-242 (2000)