Research Abstract |
東・東南アジアにおけるHuman Herpes Virus8(HHV8)関連疾患の分子疫学について,以下2点について調査を進めている. 1)カポジ肉腫,リンパ腫,多巣性キャッスルマン病のHHV8感染の頻度. 2)AIDSカポシ肉腫、非AIDS組織から検出されたHHV8の型の各地域毎の比較. 共同研究体制の構築:この課題遂行のため,台湾,韓国,タイの主要研究機関,大学医学部病理学教室に,AIDS合併,非合併のカポジ肉腫,リンパ腫,多巣性キャッスルマン病で,利用可能な組織ブロックの保存の有無を問い合わせ,協力を要請した.その結果,台湾では2施設,韓国4施設,タイ3施設から協力を受諾する旨の返事を得た.今年度は,深山,竹内が台湾国台北大学,成功大学に出向き,組織標本,臨床情報を確認した(カポジ肉腫19症例,21検体,リンパ腫150検体).これらの標本については,未染色切片を両施設から日本に送付していただいた.来年度は,韓国,タイを訪問する予定である. 日本における資料分析:現在,台湾の検体の解析を進めている.HHV8潜在期に発現するORF73蛋白を認識するモノクロナール抗体(国立感染症研究所片野博士供与)を用い,HHV8の存在をカポシ肉腫21病変中20病変に確認した.この結果は切片から抽出したDNAを用いたORF26-PCRの結果と一致した.Direct sequenceによる塩基配列決定を行うと,台湾カポシ肉腫18例の型はA5例, B/B'1例,C12例であり,日本における頻度(12例中各々5,4,3例)とは明らかに異なっていた(p<0.05).今後さらに,リンパ腫におけるスクリーニングを進めると共に,HHV8の他領域の塩基配列を行う予定である.
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