Research Abstract |
台湾,韓国に引き続き,本年はタイのチェンマイ大学,マヒドル大学医学部病理学教室を訪問して,組織標本,臨床情報を確認し,共同研究体制を構築した.チェンマイ大学では,我々がプロトコールを提供し,現地にてPCRを行うことになったが,技術的に成功しておらず努力を継続している.マヒドル大学では協力が約束されたが,現在まで果たされていない. このため,現在まで台湾カポジ肉腫19症例21検体,韓国カポジ肉腫10症例11検体・キャッスルマン病9症例・リンパ腫64症例の未染色切片が研究材料として使用可能となっている.日本カポジ肉腫については駒込病院の12症例の未染色切片を用いた.各切片よりDNAを抽出し,HHV8-ORF26-nested PCR及びHHV8 K-1VR1-PCRを行い,sequencerによって各塩基配列を決定した. 台湾カポジ肉腫21検体中20検体,韓国カポジ肉腫11検体中7検体,キャッスルマン病9検体中4検体,リンパ腫64検体中0検体にHHV8陽性所見を認めた.各検体のHHV8-ORF26の塩基配列を決定し、型別を判定したところ,台湾カポジ肉腫18症例中,A型5例,B型1例,C型12例,韓国カポジ肉腫・キャッスルマン病計9症例中,A型3例,B型0例,C型6例であった.日本カポジ肉腫12症例では,A型5例,B/B'型4例,C型3例であった.各検体について、HHV8 K-1 VR1の塩基配列を決定し,型別を判定したところ,台湾カポジ肉腫14症例中,A型1例,B型1例,C型12例,韓国カポジ肉腫・キャッスルマン病計4症例中,A型0例,B型0例,C型4例であった.日本カポジ肉腫9症例では,A型5例,B型0例,C型4例であった. 東アジアにおけるHHV8感染はカポジ肉腫には明らかであったが、リンパ腫では全例陰性であった.また,HHV8-0RF26及びK-1 VR1の塩基配列による型は、台湾、韓国がC型優位であるのに対して、日本ではA型優位であった。
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