2001 Fiscal Year Annual Research Report
病原性赤痢アメーバおよびクリプトスポリジウムの本来の感染様式
Project/Area Number |
12576008
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
神原 廣二 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (20029789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 哲雄 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (10174541)
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Keywords | 腸管寄生虫症 / 腸管原虫症 / クリプトスポリジウム / 赤痢アメーバ / 伝染様式 / フィリピン / ネパール |
Research Abstract |
赤痢アメーバが病原性種(Entamoeba histolytica, E.h.)と非病原性種(E.dispar, E.d.)よりなることが判明し、E.h.のみの流行疫学の解明が重要となった.これまでの結果はE.h.の主要感染経路は汚染飲料水や食物によるものではなく、密集した居住生活の中で起こる直接経口感染であることを示している。 1.ネパールにおける調査結果 カトマンズ市内のスラムと周辺農村地区での比較調査は、より密集した居住環境をもつスラムに有意に高いE.h.,E.d.シストの感染率と、E.h.感染のみによって出現する抗E.h.抗体の高い陽性率を認め、これまでの結果を裏付けた.さらに抗体陽性率からみたクリプトスポリジウム症の感染もまた似たような感染様式を持つことも明らかとなった.地域により流行時期の異なることはIgM, IgA抗体出現率の違いから予想された.これは原因原虫の異なる性質によると考えられるが詳細は不明である. 2.フィリピンにおける調査結果 E.h.の感染はむしろ若年層(10才前後)に多いのに、実際の発病者とくに肝膿瘍のような重症感染は20-60才まで男性成人に80%以上が認められた.この原因は不明であるが、我国で予想された男性同性愛者間の感染によるとされた考え方より、感染者のもつ免疫学的特性や、生活習慣が重要な要因であろう.E.h.の遺伝学的多様性の比較研究は肝膿瘍患者からのE.h.が1つの遺伝型に集中することが認められた.
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