2000 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカにおける女性と子どものエイズの予防と治療に関する医療社会学的研究
Project/Area Number |
12576015
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
若杉 なおみ 国立国際医療センター, 研究所・疫学統計研究部, 部長 (20118459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
照沼 裕 山梨医科大学, 微生物学, 講師 (50217436)
池田 憲昭 国立国際医療センター, 研究所・疫学統計研究部, 研究員 (30150791)
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Keywords | HIV感染症・エイズ / アフリカ / リプロダクテイブヘルス / 女性の社会経済文化要素 / エンパワーメント / 母子保健 / コンドーム使用率 / 女性性器切除 |
Research Abstract |
研究実績1.「HIV感染防御・コンドーム使用と女性の自立度-エンパワメントの関連に関する研究」 マダガスカルにおいて妊婦検診に訪れる女性1000人に質問調査の結果、コンドーム使用は3.9%(38/977)と低く、Sexually Transmited Infection(STI)の症状を持つとこたえた女性は35.8%(350/977)と非常に高かった。女性の教育程度はコンドーム使用には有効な要素になっておらず有意の関連がなかった。しかし、自分には独自の収入があり家計収入に貢献していると答えた女性においてコンドーム使用が有意に高かった。この結果は同女性グループにおける子ども死亡数と女性の教育・収入の関連についての結果とは異なる傾向を示していた。すなわち子どもの死亡と女性の教育年数は有意の関連を示し女性の教育があるほど子どもの死亡は少なかったが、女性の収入と子どもの死亡には有意の関連はなかった。このように子どもの死亡に対して有効な女性側要素と女性自身の健康を守る女性側要素とは一致しない可能性があることが示唆される。母子保健・リプロダクテイブヘルスに重要な影響を持つ女性の社会経済要素はこれまでよりもブレークダウンしてみていく必要がある。*本研究は第15回日本国際保健医療学会にて発表。英論文投稿中。 研究実績2.以下のアフリカ二国における研究計画が実施ないし準備中である。 I.ザンビア(実施中) 課題1:「女性自身による自分と性パートナーのHIV感染状態の認知に関する質問表調査」 課題2:「妊婦の細菌性膣症および絨毛羊膜炎の有無がHIVの子宮内胎児感染に及ぼす影響についての研究。」 II.マリ(計画段階) 課題1:「FGM(女性性器切除)のReproductive Healthへの影響、特に女性のHIV感染との関連に関する研究」 課題2:「マリの妊産婦検診におけるHIVの同意検査とカウンセリングおよび抗ウイルス薬使用による母子感染予防対策の導入に関する研究」
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[Publications] 若杉なおみ: "FGMのアフリカにおける実態と母子保健に与える影響"国際保健医療. 13・2. 65-75 (1999)
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[Publications] 若杉なおみ,永井周子: "マダガスカルにおけるHIV/STI防御(コンドーム使用)と女性のエンパワメントとの関連"第15回日本国際保健医療学会誌. 131 (2000)
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[Publications] Handema,R.,Terunuma,H.,Kasolo,F. et al: "Emergence of new HIV-1 subtypes other than subtypeC among antenatal women in Lusaka."AIDA Research and Human Retroviruses. (in press).
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[Publications] Owada,T.,Terunuma,H. et al.: "Antibody masking renders HIV-1 resistant to the cationic membrane filtration through alteration of its electrostatic character"J.Virological Methods. (in press).
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[Publications] 照沼裕,沼崎義夫: "ザンビアにおけるエイズ治療の足掛かり"化学療法の領域. 16. 483-488 (2000)
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[Publications] Toru Nagao,Noriaki Ikeda et al: "Oral mucosal screening as an integral part of general health screening."Journal of medical screening. 7. 203-208 (200)
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[Publications] 若杉なおみ: "「世界の公衆衛生体系」象牙海岸共和国。マダガスカル共和国"日本公衆衛生協会. 29 (2000)
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[Publications] 若杉なおみ: "「国立保健医療学」国際保健医療の現状と課題アフリカ"杏林書院. 5 (2001)