2002 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカにおける女性と子どものエイズの予防と治療に関する医療社会学的研究
Project/Area Number |
12576015
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
若杉 なおみ 国立国際医療センター, 研究所・疫学統計研究部, 部長 (20118459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
照沼 裕 山梨医科大学, 微生物学, 講師 (50217436)
池田 憲昭 国立国際医療センター, 研究所・疫学統計研究部, 研究員 (30150791)
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Keywords | HIV感染症・エイズ / アフリカ / リプロダクテイブヘルス / 女性の社会経済文化要素 / エンパワーメント / 母子保健 / コンドーム使用率 / HIV母子感染 |
Research Abstract |
研究実績 1)HIV母子垂直感染予防対策の効果向上に関する研究(マリ、ザンビア、フランス) 1)-1.ザンビアの妊婦におけるKAP・知識行動調査-母子感染・母乳感染経路知識と授乳方法選択について 成果:ザンビアの妊婦1000人を対象とした調査と解析終了。論文投稿中。 1)-2.ザンビアにおけるHIV母子感染予防プログラム後の母子ケアの改善とHome-based careによる授乳法支援で母乳感染防止を目的とする介入研究を計画中。 1)-3.妊婦の細菌性膣症および絨毛羊膜炎の有無がHIVの子宮内胎児感染に及ぼす影響についての研究。 成果:ザンビアの陣痛開始破水以前の妊婦264人の膣pH,好中球エラスターゼ、膣スメア、児のHIVPCR測定の結果、エラスターゼ活性でみた絨毛膜羊膜炎は子宮内母子感染のリスクをあげていた(odds ratios 5.9(95%CI 1.5-23).アフリカエイズ学会(ケニア)発表予定。 1)-4.フランスのアフリカ移民を主としたHIV母子感染予防対策の現状調査 成果:アフリカ移民がHIV陽性妊婦の60%を占めるフランスではHIV医療無料化によって妊婦のHIV検査,ARV治療が徹底し母子感染率の激減が見られている。 2)女性のHIVエイズからの自衛的回避・予防行動とそれに関わる社会文化経済的要因に関する研究 2)-1.サブサハラアフリカ(マリ,ザンビア,マダガスカル)における女性のHIV感染防御に関連するリプロダクテイブヘルス要因と社会経済文化要因 成果:ザンビアとマリでは質問したリプロダクテイブヘルス要因,社会経済要因のうちで、HIV感染の有無に関連していたのは教育年数で,ともにHIV感染女性のほうが非感染女性に比べ有意に教育年数が高かった。(ザンビア:陽性3.6(1.5)y/陰性3.3(1.5)y P=0.021)(マリ:陽性3.8(4.9)y/陰性2.2(3.4)y P=0.015)。マリではこの他にHIV感染者は最初の性体験年令が有意に高かった。妊娠数,輸血歴,性器切除,一夫多妻はHIV陽性者に多いという結果は出ていない(調査続行中)。教育年数はHIV予防としてのCondom useに3ヶ国すべてで有意の相関がなかった。ザンビアではHIV感染経路知識のうち血液感染にくらべ精液や膣分泌液がHIVを移すという性感染経路知識が欠損している傾向を示す結果が出ており性感染知識は教育年数が上がっても高くはならなかった。Condom useと最も関連していたのはその女性が収入貢献あるいは自分で収入を得ているかどうか、であって自己収入がない人に比べて、あると答えた人で有意にCondom useが高かった【オッズ比;マリ4.00(1.28-12.5)P<0.05 ザンビア1.73(1.00-3.00)P<0.05マダガスカル1.69(1.19-2.40)P<0.01】この他マダガスカルでは子どもの死亡を最低1人は経験した人はしていない入に比べCondom useが有意に低かった【オッズ比2.06(1.22-3.50)】。
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[Publications] 若杉なおみ, 西山綾子: "サブサハラアフリカ(マリ,ザンビア、マダガスカル)における女性のHIV感染防御に関連するリプロダクテイブヘルス要因と社会経済文化要因"第17回日本国際保健医療学会誌. 71 (2002)
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[Publications] 若杉なおみ, Nicole CIRARU VIGNERON: "フランスにおけるアフリカ移民を主としたHIV母子感染予防対策の現状"The Journal of AIDS Research. 4(4). 309(187) (2002)
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[Publications] 若杉なおみ: "アフリカのHIV母子感染-ジレンマの克服と今後の展望-"The Journal of AIDS Research. 4(2). 66(14)-75(23) (2002)
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[Publications] Handema R., Terunuma H., Kasolo F., Kasai H., Sichone., M., Yamashita A., Deng X., MulunduG., Ichiyama, K., Yokota T., Wakasugi N., Tezuka F., Yamamoto N., Ito M..: "Prevalence of Drug-resistance-associated mutations in antiretroviral-drug-naive Zambians infected with subtype C HIV-1"AIDS Research and Human Retroviruses. 19(2). 151-160 (2003)
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[Publications] Chintu C, Mudenda V, Lucas SNunn A, Lishimpi K, Maswahu D, Kasolo F, Mwaba P, Bhat G, Terunuma H, Zumla A: "Lung diseases at necropsy in African children dying from respiratory illnesses : a descriptive necropsy study"Lancet. 360(9338). 985-990 (2002)
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[Publications] 若杉なおみ: "ザンビアでのエイズ母子感染予防に対する取り組み"Confronting HIV. 20. 4 (2002)
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[Publications] Lishimpi K, Kasolo F, Chintu C, Mwaba P, Mudenda V, MaswahuD, Terunuma H, Fletcher H, Nunn A, Lucas S, Zumla A.: "Identification of Pneumocystis carinii DNA in oropharyngeal mout washes from AIDS children dying of respiratory illnesses"AIDS. 16(6). 932-934 (2002)