2003 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカにおける女性と子どものエイズの予防と治療に関する医療社会学的研究
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12576015
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Research Institution | International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
若杉 なおみ 国立国際医療センター, 研究所・疫学統計研究部, 部長 (20118459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
照沼 裕 山梨医科大学, 微生物学, 講師 (50217436)
池田 憲昭 国立国際医療センター, 研究所・疫学統計研究部, 研究員 (30150791)
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Keywords | HIV感染症・エイズ / アフリカ / リプロダクティブヘルス / 女性の社会経済文化要素 / エンパワーメント / 母子保健 / コンドーム使用率 / HIV母子感染 |
Research Abstract |
研究実績 1)女性のHIVエイズからの自衛的回避・予防行動とそれに関わる社会文化経済的要因に関する研究 「エイズの女性化」すなわちHIV感染者中の女性比率の増加は世界的傾向であるが、サブサハラアフリカでは特に顕著で女性比率は58%となり、従って絶対数も1500万人を超えていると推定される。本研究では女性がHIV感染を自衛的に回避するには何が重要かという視点から、サブサハラアフリカ3ヶ国(マリ,ザンビア,マダガスカル)における女性のHIV感染防御に関連するプロダクティブヘルス要因と社会経済文化要因を探ってきた。 成果:ザンビアとマリでは質問したリプロダクティブヘルス要因,社会経済要因のうちで、HIV感染の有無に関連していたのは教育年数で,ともにHIV感染女性のほうが非感染女性に比べ有意に教育年数が高かった。マリではこの他にHIV感染者は最初の性体験年令が有意に高く、妊娠数,輸血歴,性器切除,一夫多妻はHIV陽性者に多いという結果は出なかった。教育年数はHIV予防としてのCondom useに3ヶ国すべてで有意の相関がなかった。ザンビアではHIV感染経路知識のうち血液感染にくらべ精液や膣分泌液がHIVを移すという性感染経路知識が欠損している傾向を示す結果が出ており性感染知識は教育年数が上がっても高くはならなかった。Condom useと最も関連していたのはその女性が収入貢献あるいは自分で収入を得ているかどうか、であって自己収入があると答えた人で有意にCondom useが高かった。この他マダガスカルでは子どもの死亡を最低1人は経験した人はしていない人に比べCondom useが有意に低かった。本研究の結果は「女性の教育」という子どもの健康にとっては有効であると示され、万能視されてきたものがアフリカの女性のHIV回避には必ずしも有効に働いていない、という警告を示しているが、これをただちに教育の否定に結びつけるのではなく教育というエンパワメントがもっとリプロダクティブヘルスやHIV予防に有効に働くメカニズムを探る必要がある。また必ずしも教育の結果ではない自己収入・経済的自立性を持った女性でHIV防御行動が取れているというアフリカ3ヶ国で共通にみられた結果を重視し、女性のエイズ克服対策の中に位置づけていくべきである。 2)HIV母子垂直感染予防対策の効果向上に関する研究 感染してしまった女性から次には子どもへの感染を予防する対策に関連する研究は以下のようなものを行ない、それぞれ解析・報告した。 1.母子感染・母乳感染経路知識と授乳方法選択についてのザンビアの妊婦におけるKAP・知識行動調査。 2.ザンビアにおけるHIV母子感染予防プログラム後の母子ケアの改善とHome-based careによる授乳法支援で母乳感染防止を目的とする介入研究の計画。 3.妊婦の細菌性膣症および絨毛羊膜炎の有無がHIVの子宮内胎児感染に及ぼす影響についての研究。 4.フランスのアフリカ移民を主としたHIV母子感染予防対策の現状調査
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Randrianarivo, A., Razafinanefa, M., Rasolomaharo, M., Nishiyama, A., Wakasugi, N.: "Child death and women's earnings are associated with condom use in Madagascar."Tropical Medicine and Health. 32(1). 27-30 (2004)
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[Publications] 若杉なおみ, 金山尚裕, 西山綾子, Francis Kasolo, 御手洗聡, 市山浩二, Christine Kaseba-Sata: "子宮内HIV母子感染の危険因子-細菌性膣症/絨毛膜羊膜炎"The Journal of AIDS Research. 5(4). 391(187) (2003)
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[Publications] 若杉なおみ: "世界のHIV母子感染の現状と予防対策"Journal of Bio-Medical Science association. 15(1). 15-21 (2003)
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[Publications] Handema R., Terunuma H., Kasolo F., Kasai H., Sichone., M., Yamashita A., Deng X., Mulundu G., Ichiyama, K., Yokota T., Wakasugi N., Tezuka F., Yamamoto N., Ito M.: "Prevalence of Drug-resistance-associated mutations in antiretroviral-drug-naive Zambians infected with subtype C HIV-1."AIDS Research and Human Retroviruses. 19(2). 151-160 (2003)
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[Publications] 若杉なおみ: "アフリカ社会に深く埋めこまれた慣習FGM:健康とジェンダー・セクシュアリティの視点から"アフリカレポート(アジア経済研究所). 37. 21-27 (2003)
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[Publications] Wakasugi, N., Assitan, S.: "A pilot of VCT and the prevention of mother-to-child transmission of HIV in a primary health center at Bamako, Mali."Tropical Medicine and Health. 32(1). 143 (2003)
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[Publications] Wakasugi, N.: "Zambia and Malawi : What is effective and worthwhile cooperation with Africa?"Tropical Medicine and Health. 32(1). 75-77 (2003)
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[Publications] 若杉なおみ: "FGMの起源と文化-女性の健康とジェンダー・セクシュアリティの視点から"地域研究(国立民俗学博物館). 6(1). 159-178 (2004)
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[Publications] Wakasugi, N.: "HIV/AIDS of women and children : Avoidance of risk and reduction of vulnerability"International conference of risk management for preventive medicine (abstract). 148 (2003)
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[Publications] Nishiyama, A., Kaseba-S, C., Kasolo, F., Mitarai, S., Ichiyama, K., Wakasugi, N.: "Cervical granulocyte elastase increases the risk of intrauterine mother-to-child transmission of HIV."13^<th> International Conference on AIDS and STIs in Africa (Abstract). 156 (2003)