2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12576029
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西山 馨 神戸大学, 医学部, 教授 (00150061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 雅文 神戸大学, 医学部, 教授 (10157266)
白川 卓 神戸大学, 医学部, 助教授 (30171044)
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Keywords | G6PD欠損症 / マススクリーニング / ベトナム / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
本研究開始当初から実施計画していた新生児の濾紙血によるG6PD欠損症のマススクリーニングが軌道に乗りつつある。Hanoi市内の新生児から5,899検体を収集しホルマザン法で検索した結果、陽性率は3.1%であった。この結果は、ベトナムの「新生児におけるG6PD欠損症のマススクリーニング」の始めてのまとまった結果である。この値は我々がフィリピンで行った結果にほぼ等しい。しかし、Hanoi近郊のHoa Binhでは18%と高値で、Muong族に高い頻度で検出される事が既に判明している。 海外共同研究者のDao博士(ベトナム国立自然科学技術センター生物工学研究所副所長)を中心としたハノイ大学医学部、マラリア研究所、小児科学研究所と我々によるG6PD欠損症の遺伝子検索の共同研究では、ベトナムに居住している54種族のうち本年までにKinh族、Muong族、Katu族、Thai族、Racley族およびTay族について検索した。本年度はベトナム北部のHanoiとHoa Binh、中部のKhanh Hoa、南部のHo Chi Minhの検体についてMPTP法による遺伝子検索によって123検体がVianchang, Union, Canton, Kaiping, Gaoha, Chinese-5の6種の変異として検出された(検出率85%)。特に、Gaohaについては本年度のKhanh Hoaの検体から高頻度に始めて検出された。ベトナム近隣のインドネシア、マレーシア、フィリピン、タイで我々が行ったG6PD欠損症の分布パターンとそれぞれに微妙に相違がある傾向が明らかであった。ベトナムにおける種族構成の多様性を示す結果と一致する。 高頻度にG6PDの変異が検出される地域においては当然なのかも知れないが女性の検体からヘテロ型だけでなくホモ型あるいは2種の異なった変異を有する検体が認められた。我々は特異な検体例として取扱い、簡単な家族歴の検索を行ったが、この結果は今後の研究課題として発展させていく所存である。
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