2002 Fiscal Year Annual Research Report
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12610010
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
巻田 悦郎 東京理科大学, 経営学部・経営学科, 講師 (80212207)
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Keywords | ガダマー / 解釈学 / 1950年代 / 真理と方法 / クリュガー / ブルトマン / 精神科学 / 伝統 |
Research Abstract |
研究成果は最終的には著作という形でまとめられる。その章構成は、序章「伝記的概観」、第一章「即事的な解釈」、第二章「古代の更新」、第三章「作品の統一性・思想の連続性」、第四章「歴史主義との対決」、第五章「決意--四〇年代末・五〇年代初頭のガダマー」、第六章「『真理と方法』の構成と形成」である。 これらの章は前年度までにほぼ書き終わっていたので、本年度の課題は、足りない部分を補いつつ、著作を仕上げることであった。本年度の成果としては、原稿の完成にまでいたらなかったが、いくつか細かい部分で研究の補足と補強ができた。 まず、海外出張を通して、ブルトマンやクリュガーらとの往復書簡の一部や、ブルトマン学会でのガダマーの講演の筆記録などを入手した。ガダマー自身の個人的な証言を得ることで、彼が四〇年代末・五〇年代末に、何から影響や刺激を受け、どのような構想を抱いていたかが、より精確に、そして確実に、分かってきた。 また、クリュガーの著作を分析することによって、クリュガーがハイデガーから刺激を受けて精神科学や伝統について述べたことが、ガダマーが影響されたらしいことが分かってきた。精神科学に真理の問題を回復するというのは、ガダマーとクリュガーが当時共有していた問題意識であったが、その解決の仕方は両者で違っていた。この点については、今年七月フライブルクで発表する予定である。 『ディルタイ研究』に発表された拙論「『被投性はどうなっているのか』--ガダマーにおける対話的なもの」では、対話・対話術概念がガダマーの解釈学にどのように入り込んだのかという問題が扱われた。これは六章に組み込まれる予定であったが、分量的に、独立した章にするつもりである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 巻田 悦郎: "『被投性はどうなっているのか』-ガダマーにおける対話的なもの"『ディルタイ研究』(日本ディルタイ協会). 13号. 55-67 (2002)
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[Publications] MAKITA Etsuro: "Transmettere a tradizioni lontane"Sophia : Rivista di dialoghi interculturali [Avellino, Scuderi Editrice]. 5巻. 121-129 (2002)