2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610018
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Research Institution | KOYASAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岸田 知子 高野山大学, 文学部, 教授 (20093403)
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Keywords | 山片蟠桃 / 『夢ノ代』 / 中井履軒 / 懐徳堂 / 江戸期の漢学 |
Research Abstract |
山片蟠桃の思想形成とその独自の発展を探るには、中井履軒の学術より受けた影響を明確にする必要があると考え、12年度に引き続き中井履軒の著作調査を国立国会図書館および国立公文書館内閣文庫、宮内庁書陵部において行ない、国会図書館にのみ存在する履軒の「聞書」類の写本を中心に複写の入手に努めた。その過程において、履軒・蟠桃の合理主義的思想の源流として五井蘭洲の分析の必要性を改めて認識するにいたり、その著作の調査にも着手した。 また、江戸時代の代表的教育機関である昌平黌や水戸・弘道館、酒田・致道館などにおける釈奠儀式の文献調査を行ない、各地の学校の昌平黌化を明らかにすることができた。今後さらに各地の藩校や漢学塾の調査を行ない、地域による教育内容の違いを追究し、懐徳堂の特色を明らかにしたいと考えている。 平成13年度は懐徳堂関連のシンポジウムや講座が相次いで開催され、発表の機会を多く得た。それらは次の通りである。 1)平成13年10月 関西大学東西学術研究所創立50周年記念シンポジウムにて「近世大坂の漢学〜懐徳堂を中心として」を講演。 2)同12月 大阪歴史博物館開館記念シンポジウム「知の冒険者たち」にパネラー出演。 3)14年2月 富田林市立金剛公民館主催特別講座「大坂町人たちの学校『懐徳堂』〜その学問の本質を探る」(全4回)の講師を務めた。 いずれにおいても、従来の懐徳堂の学問に対する研究をふまえた上に、本補助金による研究成果を加味して発表することができた。今後は収集した中井履軒著作を解読・分析し、蟠桃の著作との比較研究を行う予定である。
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