2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610034
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
桑子 敏雄 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (30134422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 真理 工学院大学, 工学部, 講師 (70293082)
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Keywords | 生命倫理 / 倫理規則 / 動物実験 / 倫理教育 / 動物実験規則 / 価値構造 / 遺伝子組み換え |
Research Abstract |
本研究は、生命に対する人間の直接的な操作と介入という行為によって生じる倫理的な衝突の問題を分析し、またそれを解決するための倫理的価値構造を研究目的とするものである。桑子は、研究成果として、研究室所属の博士課程学生、大上泰弘、緒方三郎と共著で、日本生命倫理学会に、「価値構造の視点と「先端的生命科学実験」の概念」というタイトルで、生命倫理研究の基礎理論構築の試みを掲載した。また、本研究は、東京工業大学での生物実験における生命倫理教育とも連動するかたちで行われているが、桑子は、2000年度初頭に行われた東京工業大学生物実験センターでの講習会に講師として「生命倫理」の部分を担当し、生物実験者の倫理意識向上に資するとともに、同講習会で、生物実験従事者の生命に対する関心、態度、倫理的な意識、基本的な知識などについてアンケート調査を行った。この調査にもとづいて、あるべき生命倫理教育についてのレポートを作成し、現在、日本生命倫理学会に「東京工業大学における動物実験についての安全・倫理教育への取り組みについて」(大上泰弘と共著)と題して投稿中である。 また、林は、生命科学研究の歴史的展望の基礎理論として、「生命認識の問題:客体としての生命と主体としての生命」を日本感性工学会感性哲学部会で発表した。 以上のように、本年度における本研究は、主として、方法論と基礎理論の研究を行い、これに加えて、アンケート調査による基礎データの収集という形で進めて、十分な研究成果を収めることができた。その他の関連研究業績は、別紙の通りである。 また、生物実験に関する規則等のデータ収集については、本年度も行ってはいるが、来年度は、海外等の規則に関するデータの収集と分析を重点的に行い、「動物実験、遺伝子組み換えにかかわる倫理的評価システムの構築」にむけて、枠組みを明確、かつ厳密なものに仕上げるための作業を進める予定である。
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[Publications] 桑子敏雄: "生命操作の時代と安藤昌益の思想"『自然と人間を結ぶ』農村文化運動. 156. 66-71 (2000)
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[Publications] Tohio Kuwako: "The Aspects of the Boundary in Private Gardens and the Meaning of City Space"Journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture. Int'l Ed.No.1. 1-4 (2000)
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[Publications] 桑子敏雄,大上泰弘,緒方三郎: "価値構造の視点と「先端的生命科学実験」の概念"生命倫理. 第10巻第1号. 50-57 (2000)
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[Publications] 林真理: "リスク概念の科学論的検討にむけて"工学院大学共通課程研究論叢. vol.38 no.1. 1-13 (2000)
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[Publications] 林真理: "生命認識の問題:客体としての生命と主体としての生命"日本感性工学会感性哲学部会研究発表会報告. 8 (2000)
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[Publications] 林真理: "『遺伝子組み換え食品の安全性』問題をめぐる知識の社会的構成-遺伝子組み換え食品はどうして科学論の問題になるのか-"『科学史・科学哲学』東京大学科学史・科学哲学研究室. No.15. 50-64 (2000)
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[Publications] 桑子敏雄: "『風土工学への招待』 風土工学と空間の思想"山海堂. (290)29-46 (2000)
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[Publications] 桑子敏雄: "『「わたし」の考古学』同一性の宗教空間 -宇宙へと分散する「わたし」-"岩波書店 坂口ふみ他編. (277)145-167 (2000)