2001 Fiscal Year Annual Research Report
古代ギリシア社会のエートスとCorpus Hippocraticum
Project/Area Number |
12610036
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Research Institution | YAMANASHI UNIERSITY |
Principal Investigator |
免取 慎一郎 山梨大学, 教育人間科学部, 教授 (20020373)
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Keywords | ロポクラテス / 医師の義務論 / プログノーシス / ディアイタ(食器生法) / ミアスマ / プラトン / トゥキュディデス / ギリシア悲劇 |
Research Abstract |
長年にわたって科学研究費の交付を受けて継続してきた「ヒポクラテス集成」Corpus Hippocraticuを中心とする古代ギリシア医学文献の研究に、山梨大学定年退官の時を迎えて、一区切りをつけることができた。 ミアスマ(汚染)の観念を、ギリシア悲劇におけるパトロギア(病理学・受難劇)の問題として、倫理思想史的に考察した前回の研究課題{ミアスマのパトロギア」を継承して、ギリシア社会のエートスの中で取り上げた論文が、「ミアスマをめぐって」(補遺)である。これは、2001年9月、青山学院大学で開催されたギリシヤ哲学研究セミナーでの研究発表に、当日の疑問・質問・討論を踏まえて、手を入れたものである。トゥキュデイデスとの対比、ソクラテス以前の自然哲学との関係からプラトン・アリストテレスを経てヘレニズム時代の哲学まで、エートス論として一通りの見通しをつけることができた。 「ヒポクラテス研究」補遺は、研究成果報告書のために書き下ろしたもので、これまでの私の一連の研究をエートス論という視点から取り纏めた論文である。内容としては、1プラトン哲学とヒポクラテス医学との関係、2「ヒポクラテス集成」における諸問題、すなわち(1)医師の義務論、(2)プログノーシス、(3)メトロン、3自然哲学と医学との関連として(1)図式性、(2)デイアイタの問題、4トゥキュデイデスの自然観念との対比からミアスマ論への展開まで、多岐にわたるもので、わたしのような才に乏しいものが、とにもかくにもたどりついた、研究の総括である。
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[Publications] 免取慎一郎: "ミアスマをめぐって(補遺)"山梨大学教育人間科学部紀要. 3・1. 214-220 (2001)
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[Publications] 免取慎一郎: "「ヒポクラテス研究」補遺"古代ギリシア社会のエートスとCorpus Hippontion所収. (2002)
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[Publications] 免取慎一郎: "古代ギリシア社会のエートスとCorpus Hippocration"免取慎一郎. 38 (2002)