2000 Fiscal Year Annual Research Report
いのちとこころに関わる現代の諸問題の現場に臨む臨床人間学の方法論的構築
Project/Area Number |
12610037
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
浜渦 辰二 静岡大学, 人文学部, 教授 (70218527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上利 博規 静岡大学, 人文学部, 助教授 (20222523)
矢吹 和美 静岡大学, 人文学部, 教授 (70099943)
山下 秀智 静岡大学, 人文学部, 教授 (70109122)
田中 伸司 静岡大学, 人文学部, 助教授 (50207099)
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Keywords | いのち / こころ / 医療技術 / 生命倫理 / 宗教意識 / 芸術活動 / 精神医療 / 臨床心理 |
Research Abstract |
元来代表者を務めていた松田(山崎)が長期海外研修のため、平成13年2月に浜渦が代表者を引き継いだ。そのため、この報告書は、松田(山崎)の研究も含めたものである。 松田(山崎)は、学内の発生生物学者からの聞き取り調査を行い、新潟への出張などで生命倫理学関係の貴重な資料も収集し、その成果をすでに論文にまとめ、まもなく公表される。田中は、医療における倫理的決定のための「新たな実践的アプローチ」とされる臨床倫理学に関する資料の収集を行うと共に、日本における斯学の推進者との情報交換を行った。山下は、「生と死を考える会」の研究会に参加し、最新のテーマ等に関する情報収集を行った。また庶民の中に息づく仏教を、妙好人等の研究を通して考察するため、島根及び比叡山で調査を行った。上利は、県内の芸術家(16名)及び県内外の文化施設(9カ所)を訪問し、アトリエ等でビデオで録画しながら、芸術活動の意義や社会との関わり等をインタヴュー。同時に、県中部のギャラリー十数ケ所を定期的に訪問・調査した。依頼により袋井市文化政策を賛助。矢吹は、主観と客観がさまざまなレベルで入り組んでいる心理療法に対して、対象に客観的に接近し、診断、治療するような医療モデルは通用しない。主観というこころの現象の領域内でのこの仕事は、いわばこころの思考(臨床の知)によってとらえられる。「こころの相談室」で実際に心理療法を行い、この知のあり様を具体的に検討した。浜渦は、県内外の精神科医・臨床心理士との隔月の研究会にて意見交換を重ねるとともに、時間研究および情報倫理の研究との関連におけるこころの問題について意見交換・情報収集してきた。以上を踏まえて、共同研究者全員参加の合宿にて、お互いの研究成果について、また、「いのちとこころに関わる現代の諸問題の現場に臨む臨床人間学の方法論的構築」という全体的テーマへのそれぞれの寄与と統合のあり方について、徹底的な討議を重ねた。と同時に、松田(山崎)の海外研修(ドイツ)にともない、浜渦が代表者を代わって引き受けることとし、交代のための引き継ぎも綿密に行った。
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[Publications] 松田(山崎)純: "BT革命と人間の未来"『共生のリテラシー-環境の哲学と倫理』東北大学出版会. (未定). (2001)
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[Publications] 松田(山崎)純: "意図と責任"『共生のリテラシー-環境の哲学と倫理』東北大学出版会. (未定). (2001)
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[Publications] 松田(山崎)純: "いのちの共鳴-人権の根を掘る"『新世紀社会と人間の再生』八朔社. (未定). (2001)
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[Publications] 浜渦辰二: "対話の現象学のために"人間存在論(京都大学大学院人間・環境学研究科、総合人間学部『人間存在論』刊行会). 第6号. 34-47 (2000)
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[Publications] 浜渦辰二: "対話の現象学にむけて"哲学論文集(九州大学哲学会編). 第36輯. 97-114 (2000)
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[Publications] 上利博規: "大杉の筆の先"書道家大杉弘子の国際交流基金マイセン市パンフレット. (2000)