2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610061
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Research Institution | Tezukayama Gakuin University |
Principal Investigator |
島本 浣 帝塚山学院大学, 文学部, 教授 (30154280)
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Keywords | 美術品カタログ / 売立カタログ / 美術館カタログ / 展覧会カタログ |
Research Abstract |
本研究の初年度の目的は、誕生から成立、展開へと至る美術品カタログの種類、形態、分類法、記述形式の変化を実証的に検証することであった。その目的実現のために18、19世紀の美術品カタログの調査とそのデータ化を行った。この目的は、2度にわたる海外調査によっておおむね実現することができた。平成12年の8月〜9月におこなったヴェネツィアとパリでの調査では、18世紀フランスとヴェネツィアでの売立カタログの詳細なデータを獲得するすることができ、また、19世紀フランスの美術館と展覧会のカタログも数多く実見できた。さらに、3月に行った2回目の海外調査においてデータはより充実したものとなった。 今年度の調査によって18、19世紀における西洋の美術品カタログに関するいくつかの新しい知見を得ることができた。(1)美術品カタログの誕生期である18世紀において、美術品カタログはほとんど売立カタログに限られること。(2)18世紀に確立されたカタログの形式(形態、分類法、作品記述項目)が基本的には19世紀にも受け継がれていくこと。(3)ただし、19世紀に入ると売立カタログは単純なものになり、美術館や展覧会のカタログに充実が見られること。(4)18世紀の売立カタログの形式を受け継いだのは美術館や展覧会のカタログであること。(5)19世紀のカタログでは、作品記述の方法が図版挿入により変化していくこと。 平成13年度には調査とデータ化をさらに進め、19世紀後半から20世紀におけるカタログをターゲットとし、美術品カタログ史の全体像を浮かびあがらせたい。なお、今年度の研究調査の一端を次のHPで公開している。 http://homepage1.nifty.com/osamumaekawa/arthistory%20and%20reproduction.htm
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