2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610061
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Research Institution | Tezukayama Gakuin University |
Principal Investigator |
島本 浣 帝塚山学院大学, 文学部, 教授 (30154280)
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Keywords | 美術品カタログ / 19世紀美術館カタログ / 写真とカタログのビジュアル化 / データとしてのカタログ |
Research Abstract |
2年目を迎えた本研究の今年度の目標は、初年度に続いての資料調査とそのデータ化であった。初年度は主に18、19世紀前半の売立カタログ、美術館カタログを調査し、カタログの誕生と成立の歴史的経緯を追跡することができた。その結果を踏まえての本年度は19世紀後半から20世紀前半の美術館と展覧会のカタログ調査とそのデータ化を行い、十分な成果を得た。そうした調査の結果により、18世紀から20世紀へと美術品カタログの種類とその形式の全体の変遷が明瞭に浮かび上がってきた。以下、簡単に要点のみをまとめる。 *カタログの種類の推移 18世紀には美術品カタログは売立カタログを中心としていたが、19世紀に入ると、美術館、展覧会のカタログの成立によって、美術品カタログはより多様なものとなっていく。ただし、売立カタログからは美術史的価値が失われ商品紹介としての見本帳へと変化していく。 *カタログの形式の変化 18世紀の売立カタログのなかに確立したカタログ形式は19世紀、20世紀になっても基本的には持続する。しかし、19世紀に発展する美術館展示品カタログにおいては、作品をより詳細なデータによって規定していこうとする記述形式が目立つようになってくる。それにともない、作品記述の単純化が生じるが、この単純化はカタログへの図版挿入とカタログのビジュアル化を契機づけることになる。それは写真図版がカタログに定着し始める1920年代からの徴候である。
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