2000 Fiscal Year Annual Research Report
古代ギリシア建築におけるコリントス式オーダーの研究
Project/Area Number |
12610065
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
芳賀 満 京都造形芸術大学, 芸術学部, 助教授 (40218384)
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Keywords | 建築史学 / 古典考古学 / 美術史学 / 歴史遺産学 / 古代ギリシア・ローマ / 古代エジプト及び古代オリエント / オーダー / コリントス式柱頭 |
Research Abstract |
1、コリントス式柱頭の起源について考察した。特に、都市コリントスのある少女の墓碑の周囲に伸びた美しいアーカントスの葉を模してコリントス式柱頭が創造されたとする説に関し、アーカントスの葉が葬祭の性格を強く帯びていることをいくつもの事例から例証し、コリントス式が起源において葬祭と関係が深いことを示した。柱頭が起源にもつこの聖的性格が、この後の柱頭の建築史的意義を大きく決定することとなる。 2、コリントス式柱頭には実に様々な形態が存在するので、ウィトルウィウスのカノンと先行研究Rouxによる自由タイプとノーマルタイプとの類型を踏まえ、その形態を定義した。さらに、ドーリス式とイオニア式との対比において、コリントス式の特異性を明示した。 3、古代ギリシア時代の全地中海域から中央アジアにかけての広範な地域における全てのコリントス式オーダーのカタログ化に着手した。在ローマ・ドイツ考古学研究所等において現在までに成された個々の研究あるいは発掘報告書を渉猟し、コリントス式柱頭の事例のある都市の名、建物名、建物の用途、事例のある部屋の用途、建設年代、事例の寸法、以上の建物のプランと事例の図面、文献出典などの諸項目から成るデータ・ベースを構築中である。現在のところ、300件ほどの事例を見つけた。データ・ベースは随時拡張充実させている。さらに事例を時間軸にそって並べ、建築タイプ、柱頭が内部にあるか外部にあるかなどといった様々な検討課題による考証も開始した。 4、エジプトにコリントス式柱頭はおそらく既に紀元前4世紀から存在し、関係が深いことを示した。特にアレクサンドリアのコリントス式柱頭の発展の様相については、さらに考証が必要なことが判明した。 5、ギリシア・ヘレニズム世界からローマ世界へのコリントス式柱頭の伝播についても考証を始めた。特に、都市ローマのPorticus Octaviaに関して考察をした。
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