2001 Fiscal Year Annual Research Report
古代ギリシア建築におけるコリントス式オーダーの研究
Project/Area Number |
12610065
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
芳賀 満 京都造形芸術大学, 芸術学部, 助教授 (40218384)
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Keywords | 古代ギリシア・ローマ考古学 / 建築史学 / 美術史学 / ヘレニズム建築 / 柱頭のオーダー / オリンピエイオン / コッスティウス / キリキア地方 |
Research Abstract |
1.古代ギリシア時代地中海域から中央アジアにかけてのコリントス式オーダーのデータ・ベース作成を進めた。昨年度来の約300例についてはよりデータを充実させ、今年度はさらに約100例を追加した。その上で、特に重要あるいは従来の研究の盲点であった以下の3点に関し研究を行った。 2.神殿外部にコリントス式を初採用したアテナイのオリンピエイオンの柱頭は、ヘレニズム君主的派手好みの造形化であり、それゆえにローマ皇帝の嗜好に合致しローマ建築へ大きな影響を与えた。ギリシア世界におけるコリントス式オーダーの完成例であり、ギリシアからローマへの造形伝播の要であったことから最重要課題であるこの柱頭について、小アジアの柱頭、エピダウロスのトロスの柱頭、ウィトルウィウス『建築十書』の「カノン」等との比較を行い、その造形的特徴とギリシア・ローマの造形的国際関係の一側面を明らかにした。この研究は'02年5月25日の美術史学会全国大会発表に応募し採択された。その後に同学会雑誌に投稿予定。 3.オリンピエイオンは古代地中海の壮大な国際関係の具現化である。シリア王の奉献によりギリシアに建てられたこの神殿の建築家コッスティウスはローマ人であった。名前が知られているこのローマ最初の建築家について考察し、彼が選ばれた理由と出目を明らかにし、ギリシア・ローマ建築史の中に位置づけた。この研究は'02年4月20日の建築史学会全国大会発表に応募し採択された。その後に同学会雑誌に投稿予定。 4.キリキア地方は東西文明の交差点にあたる重要な国際舞台だが従来研究が等閑視されてきた。同地方のオルバのゼウス神殿のコリントス式柱頭の考察を通して、この地に於けるヘレニズム時代のセレウコス朝とプトレマイオス朝の関係を明らかにした。この研究は'02年6月22日の地中海学会全国大会発表に応募し採択された。その後に同学会雑誌に投稿予定。
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