2001 Fiscal Year Annual Research Report
反復盲,負のプライミング,指示忘却課題を用いた実行機能の認知神経心理学的検討
Project/Area Number |
12610077
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小松 伸一 信州大学, 教育学部, 助教授 (50178357)
|
Keywords | 反復盲 / 負のプライミング / 指示忘却 / 実行機能 / 抑制 |
Research Abstract |
本研究は,(1)反復盲,(2)負のプライミング,(3)指示忘却という3種の記憶現象を取り上げ,発達段階の異なる健常者群,および,障害の性質や度合いの異なる患者群を対象に,これらの現象がどのように出現するかを実証的に検討することを目的とした.今年度は特に,負のプライミング現象に焦点を当てその出現条件を確定するともに,負のプライミングを測るための4種の課題を考案し課題間で相関分析を試みた. 負のプライミング出現条件を確定するための研究では,大学生を対象に3つの実験を実施し,刺激の種類と被験者に課す判断の種類を系統的に操作した.この結果,ひらがな表記された数字を刺激項目とし,数値の大小という意味的属性をはんだんさせるかだいを用いた条件において,正のプライミングとともに,負のプライミングが頑健に出現することを証明した. 次に,抑制機能の個人差を検出するための指標として負のプライミング効果が有効であるかを実験的に検討した.フランカー,ストループ,大きさ判断,モダリティ間干渉という4種の異なる課題を大学生60名に実施した結果,いずれの課題においても有意な負のプライミング効果を確認した.しかし,課題間で負のプライミング効果の相関を分析したところ,相関係数はいずれも低く,また,正のプライミングおよび干渉指標との間にも一貫した関係を見出すことはできなかった.さらに,折半法によって信頼性を分析した結果,いずれの課題でも負のプライミングの信頼性係数は低いことが判明した.これらの結果に基づき,抑制機能の指標として負のプライミング効果を用いる立場に対し問題を提起した.
|
Research Products
(1 results)