2000 Fiscal Year Annual Research Report
虚偽検出における抑制型countermeasureの効果
Project/Area Number |
12610099
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
松田 俊 広島修道大学, 人文学部, 教授 (50173844)
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Keywords | 虚偽検出 / 末梢神経系 / 中枢神経系 / 事象関連 / P300 / countermeasure |
Research Abstract |
現在の犯罪捜査では呼吸、皮膚電気活動、脈波といった末梢神経系の活動が指標として利用されている。その一方で、中枢神経系の活動を反映する事象関連電位が新たな虚偽検出の指標として注目されてきている。 しかし、事象関連電位を指標にも用いた虚偽検出が実務に利用されるには、解決しなければならない問題がいくつか残されている。その一つとして、被検査者による、検出の回避を目的とした妨害工作(countermeasure、以下CM)に対する耐性があげられる。 本研究では事象関連電位の中でも虚偽検出の指標として特に注目されているP300を用い、CMに対する耐性について従来の虚偽検出と比較検討した。 本研究では以下の知見を得ることができた。 1、P300の振幅はCMにより減少する。しかし、裁決項目に対する振幅だけでなく、非裁決項目に対する振幅も一様に減少するため、裁決-非裁決項目の振幅差は明確であり虚偽検出が困難になることはない。 2、P300を指標に用いた虚偽検出の精度は、CMによる妨害を受けていない場合は94%、CMによる妨害を受けていた場合は81%であり、ともに高い精度を得ることができた。 3、CMによる妨害を受けた場合とそうでない場合の検出精度を比較しても、有意な差は見られず、P300を用いた虚偽検出はCMによる影響を受けないと言うことができる。 4、P300を指標にした虚偽検出と同様に、従来の虚偽検出もCMによる妨害を受けていても自然確率より高い精度で検出に成功することが示された。 5、従来の虚偽検出も、CMによる妨害を受けた時とそうでない時の検出精度に有意な差が見られず、CMによる影響を受けないと言うことができる。
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