2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610101
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Research Institution | The Institute for science of labour |
Principal Investigator |
鈴木 一弥 財団法人労働科学研究所, 研究部, 研究員 (90291898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前原 直樹 財団法人労働科学研究所, 所長 (60165660)
北島 洋樹 財団法人労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (20234255)
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Keywords | ヴィジランス / 眠気 / 瞬目 / 自動車運転労働 / 夜勤 / 眼球運動 |
Research Abstract |
本研究では、精神作業負担の測度としての眼球運動の可能性を検討し、実作業データの評価手法の確立に向けての基礎的検討と実作業への試行的な適用をおこなった。 初年度には、眼球運動への影響が比較的顕著と考えられる単調課題実験場面での覚醒水準低下を中心に取り上げた。ヴィジランス作業中の眼球運動を記録し、従来から行われている視線移動の分析に加えて、潜時や速度といった微少な変数、瞬目の微小変化の分析を実施し、これらの変数の時系列変動と、作業条件、作業パフォーマンスとの関連の観察・分析を実施した。その結果、眠気の進行に伴う瞬目持続時間の延長、眼球運動速度の低下やばらつきの増加がみられた。重回帰分析等の結果によれば、瞬目持続時間が眠気の指標として有効であり、強いレベルの眠気の場合には眼球運動の緩徐成分の増大が認められた。 次年度には、新たな実験室実験とトラック走行、夜間監視作業のデータを取り上げ、眠気進行に伴う生理指標への影響を観察した。実作業の分析の結果では、深夜.早朝時間帯における瞬目持続時間の延長がみられた。また、眠気に伴うサッケード速度の低下傾向がみられた。実作業中の瞬目頻度に関しては、作業条件による影響が伺われたが、眠気に伴う対処行動的な瞬目の増加がみられた例があった。また、眠気が強い場合には瞬目回数の顕著な減少が生じた。今回の実作業の分析では眼球運動緩徐成分の眠気に伴う出現は認められなかった。 比較的簡便なEOG法による眼球運動データにおいて、眠気の強度に応じた諸変化が認められ、特に瞬目指標が実作業中の眠気の指標として有効であることが示された。
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[Publications] 北島洋樹, 鈴木一弥, 大西明宏, 飯田裕康: "高速道路夜間長距離走行におけるトラック運転者の眠気(1)走行状況と眠気予測精度の関係"労働科学. 76(10). 441-446 (2000)