2002 Fiscal Year Annual Research Report
幼児の「情緒表現」と「身体接触」が友だち関係の成立と維持に及ぼす影響
Project/Area Number |
12610103
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
本郷 一夫 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (30173652)
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Keywords | 幼児 / 友だち関係 / 情緒表現 / 身体接触 / 保育所 |
Research Abstract |
本年度は、3年計画の研究の最終年度に当たる。そこで、これまでの研究の過程で作成された行動カテゴリーを用いた縦断的観察と他児の情緒表現の理解にかかわる実験の主に2つの研究を進めた。 1.幼児の仲間関係における「身体接触」と「情緒表現」の役割:5歳児クラスの幼児3名と4歳児クラスの幼児1名を縦断的に観察し、仲間関係における「身体接触」と「情緒表現」の役割について明らかにした。その結果、仲間間では「笑い」の情動表出が中心であること、「身体接触」には、(1)他児への愛着の表現としての身体接触、(2)注意の逸脱の結果としての身体接触の両側面があること、4歳児クラスと5歳児クラスとでは身体接触が友だち関係の成立に及ぼす影響が異なることが示唆された。 2.幼児の他者の意図理解における「情緒」情報の利用に関する研究:幼児が他者の意図を理解する際に「情緒(音声)」情報とともに「行動」情報、「言語」情報といった複数の情報をどのように利用しているのか明らかにするために、幼児28名を対象に実験を行った。その結果、年中児は「行動」情報を多く利用し、他者の意図を理解するのに対して、年長児は「言語」情報を多く利用し、情報間の矛盾にも着目できるようになってくることが示唆された。 今年度実施した上記の2研究に、これまでの3研究を加え、5つの研究を通して、幼児の「情緒表現」と「身体接触」が友だち関係の成立と維持に及ぼす影響について検討した。
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