2000 Fiscal Year Annual Research Report
暴力的テレビゲームと怒り感情のコントロールに関する実験的研究
Project/Area Number |
12610106
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 富二雄 筑波大学, 心理学系, 教授 (80182781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯川 進太郎 筑波大学, 心理学系, 助手 (60323234)
小玉 正博 筑波大学, 心理学系, 助教授 (00114075)
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Keywords | 暴力的テレビゲーム / 攻撃行動 / 認知 / 情動 / 刺激反応性 / 役割同化性 / 暴力性 / 娯楽性 |
Research Abstract |
本年度は,暴力的テレビゲームに関する実験を行った.はじめに,【研究1】として,ゲームの形態(刺激反応性vs役割同化性)と印象(娯楽性vs暴力性)の面から暴力的ゲームを分類した.【研究2】では,研究1に基づいて刺激ゲームを選択し,認知・情動・攻撃行動に及ぼす影響について実験を行った.この際,ゲーム画面を単に観察する条件と実際にプレイする条件に分け,参加性の効果についても検討した. 被験者は1名ずつ実験に参加した.はじめに,半数の被験者はゲームを実際にプレイし(プレイ条件),半数の被験者はプレイ条件被験者によるプレイ画面の録画映像を観察した(観察条件).プレイもしくは観察するゲームは,(1)娯楽性の高い刺激反応型ゲーム,(2)娯楽性の高い役割同化型ゲーム,(3)暴力性の高い刺激反応型ゲーム,(4)暴力性の高い役割同化型ゲーム,(5)非暴力的な統制ゲーム,の5つの内のいずれか1つとした.ゲームに接触した後,接触中に思い浮かんだ思考を単語レベルで自由に記述させ(認知反応),単極尺度上で感情反応を評定し,最後に攻撃行動を測定した. 実験の結果,認知と感情については,暴力的ゲームを観察するだけで攻撃的思考が活性化され,暴力の高い役割同化型ゲームにおいて不快感情が最も喚起された.一方,ゲームを実際にプレイすることで,特に暴力性の高い暴力的ゲームの場合に攻撃的思考がより一層活性化し,役割同化型ゲームでは不快感情が弱まる傾向にあり,刺激反応型ゲームでは不快感情が同程度か強まる傾向が見られ,全体的に快感情は高まった.攻撃行動については,観察からプレイへとゲームへの関与の度合いが深まることで,娯楽性の高い役割同化型ゲームにおいて攻撃行動は促進され,逆に,暴力性の高い役割同化型ゲームにおいて攻撃行動は抑制された.
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