2001 Fiscal Year Annual Research Report
暴力的テレビゲームと怒り感情のコントロールに関する実験的研究
Project/Area Number |
12610106
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 富ニ雄 筑波大学, 心理学系, 教授 (80182781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯川 進太郎 東京成徳大学, 人文学部, 講師 (60323234)
小玉 正博 筑波大学, 心理学系, 教授 (00114075)
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Keywords | 怒り / コントロール / 鎮静化過程 / 感情 / 認知 / 行動 / 時系列的変化 / エピソード法 |
Research Abstract |
本年度(平成13年度)は,怒り感情のコントロールへ向けた基礎的検討として,怒り経験時の感情・認知・行動について2つの研究を行った。まず,第一研究では,大学生22名(男子10名,女子11名,性別無回答1名)を対象に,過去に経験した強い怒り経験を具体的に記述させた(エピソード法)。続いて,その経験時における(1)怒りの対象,(2)生じた感情,(3)怒り緩和行動,について具体的に記述させた。書き出された自由記述データをKJ法に基づき分類した結果,典型的な怒り場面として<自分勝手><侮辱><不当な強制><迷惑行為>などが,典型的な怒りの対象として<友人><先生><兄弟><恋人>などが抽出された。また,怒り経験時には,<怒り>の他に<抑うつ>および<驚愕>といった感情が生じることがわかった。そして,こうした怒り感情に対処するために取る行動(怒り緩和行動)として,<論理的解決(合理化・原因究明・冷静視・客観視)><感情表出(攻撃行動・社会的共有・物への転嫁)><思考回避(気分転換・忘却)>の9行動(3カテゴリ)が抽出された。これに基づき,第二研究では,怒り経験時の感情・認知・行動が相互にどのような関係にあるのか,その時系列的変化も含めて検討した。大学生200名(男子96名,女子104名)を対象に,「友人」に対して最も強い怒りを経験した場面について具体的に記述させた。続いて,その怒り経験の「直後」「2〜3日後」「1週間後」の各時期における,(1)感情(怒り,抑うつ),(2)認知(経験の受け止め方;事後の因子分析により次の4因子を抽出<肥大化><客体化><自責化><鎮静化>),(3)行動(第一研究で抽出された9行動),について単極尺度上で評定させた。その結果,直後は感情的要素(怒り)が行動(感情表出)へと,2〜3日後は認知的要素(肥大化など)が行動へと顕著に結びついていることが明らかとなった。
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