2001 Fiscal Year Annual Research Report
カウンセリング逐語記録の分析によるカウンセリングプロセスの研究
Project/Area Number |
12610114
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Research Institution | CHIBA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
保坂 亨 千葉大学, 教育学部, 助教授 (30173579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽間 京子 千葉大学, 教育学部, 助教授 (60323383)
近藤 邦夫 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40095790)
岡村 達也 文教大学, 人間科学部, 教授 (10177082)
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Keywords | カウンセリング逐語記録 / カウンセリングプロセス / パーソンセンタード・カウンセリング / pre-therapy / 反射 / 応答技法 / 治療的人格変化の必要十分条件 / 治療構造 |
Research Abstract |
カウンセリング逐語記録の分析は,Rogers(1942)以来,科学研究上はもちろんのこと,養成訓練のうえでも重要なことと認識されてきた。にもかかわらず,近年はさまざまな制約(守秘義務等)から十分に行われていないのが現状である。そこで,本研究では,故・佐治守夫東京大学名誉教授が遺されたカウンセリング・テープに基づいて,逐語記録によるカウンセリングプロセスの研究に取り組んだ。 本研究で作成,使用したデータは以下の3種類からなる。 A;テープから作成したカウンセリング逐語記録(守秘義務から報告書には載せていない)。B;Aに加えてカウンセラーの内省が記されているもの(報告書資料1)。C;A,Bに加えてケース全体の記録が記されているもの(報告書資料2,3及び出版されている「ゆう子のケース」など)。 これらのデータに基づき,以下3点から分析・検討を行った。 1.上記Aに基づき,Pre-therapy(Prouty,1994)という観点を導入して,「(感情の)反射(reflection)」について技法論的に検討し,新たな方向性を示唆した(報告書論文2)。 2.上記Bに基づき,カウンセリングプロセスに影響を与える基盤としてのカウンセラーの基本的態度の検討を行い,Rogersのいう3条件のうち純粋性の重要性を確認した(報告書論文3)。 3.上記Cに基づき,大きな枠組みとしてカウンセリングプロセスに直接的な影響をもつ,カウンセラーによる治療構造の組立てを取り上げ,治療選択という観点を含めて検討した(報告書論文1)。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] 岡村 達也, 保坂 亨: "パーソンセンタード・カウンセリングにおける「治療的人格変化の必要十分条件」の技法論的展開-第1条件の見直しからプリ・セラピィ,反射の復権へ-"心理臨床学研究. 18巻・3号. 299-304 (2000)
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[Publications] 羽間 京子: "学校教育臨床における「治療的Splitting」について-非行臨床で得られた知見から-"千葉大学教育学部研究紀要. 49巻. 191-198 (2001)
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[Publications] 岡村 達也: "「理解すること」から「いま・ここに・いること」としての反射へ-クライアント中心/パーソン中心カウンセリングにおける「治療的人格変化の必要十分条件」論の展開-"カウンセリング. 34巻・1号. 13-21 (2001)
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[Publications] 岡村 達也: "自己愛の傷つきやすいクライアントへの解釈-面接関係がなかなか形成できない場合-"臨床心理学. 1巻・5号. 610-613 (2001)
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[Publications] 岡村 達也: "親・教師に必要な聞く技術・話す技術"児童心理. 55巻・15号. 3-12 (2001)
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[Publications] 岡村 達也: "『プリセラピー』への訳注への試み(上)-ProutyのPretherapyの研究(I)-"人間科学研究. 23号. 55-65 (2001)
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[Publications] 岡村 達也: "「理解すること」から「いま・ここに・いること」としての反射へ-クライアント中心/パーソン中心カウンセリングにおける「治療的人格変化の必要十分条件」論の展開-(II)"カウンセリング. 34巻・2号. 37-48 (2002)
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[Publications] 羽間 京子: "クライエントとの治療的距離を保つためのカウンセラーの内的体験の活用-自己愛に傷つきを持つクライエントとのカウンセリング過程から-"心理臨床学研究. 20巻・1号(印刷中). (2002)
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[Publications] 羽間 京子: "よりよい生徒指導をめざして-一方法としての教師のロールプレイ学習について-"千葉大学教育学部研究紀要. 50巻(印刷中). (2002)
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[Publications] D・メァーンズ著, 岡村達也他訳: "パーソンセンタード・カウンセリングの実際-ロジャーズのアプローチの新たな展開-"コスモス・ライブラリー. 233 (2000)
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[Publications] G・プラゥティ著, 岡村達也他訳: "プリセラピー-パーソン中心/体験過程療法からの分裂病と発達障害への挑戦-"日本評論社. 166 (2001)