2000 Fiscal Year Annual Research Report
情動知能の一部としての情動解読能力の測定に関する研究
Project/Area Number |
12610116
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
相川 充 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (10159254)
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Keywords | 情動知能 / 情動解読 / 知能検査 / 信頼性 / 妥当性 |
Research Abstract |
本研究では、情動知能の中心的な下位概念と言われている(Davisら1998)、情動解読能力を測定する課題遂行型検査の開発を行った。「課題遂行型」とは、被検者に一定の課題を遂行させ、その成績によって被検者の能力を測定するタイプの検査のことである。 具体的には、以下のような手順で開発した。 1.実験協力者2名に、「さびしさ」「安心」「うれしさ」など、16の情動が含まれている32の対人場面をシナリオに沿って演技させ、これをビデオに撮影した。対人場面の登場人物は、16の情動のいずれかを言語的、非言語的に表出している。 2.32の対人場面を解読材料として、被検者にひとつひとつ呈示し、ビデオの各対人場面に登場している人物が表出している情動が何であるか推測させた。 3.被検者の推測結果をもとに、32の対人場面の弁別力を統計学的に分析し、有意なものだけを選別しようと試みた。しかし、基準の設定を実験者基準にするか被検者内基準にするかによって結果が大きく異なることが判明した。いくつかの分析を経て、最終的には、被検者内基準により16場面を選択した。これらを検査項目とする、情動解読能力検査を構成した。 こうしてできた課題遂行型の検査は、被検者にとって何を測定されているのか判断しにくいために、虚偽の報告や、意図的に歪めた回答は困難となる。また、被検者の自己省察力などの回答能力に依存しないため、情動知能を直接、測ることができる。 ただし、いまだ信頼性と妥当性の検討が十分ではない。来年度は、ソーシャルスキルや種々の人格特性、あるいは情動知能と関連すると思われる外在変数との関係を検討したい。
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