2001 Fiscal Year Annual Research Report
青年の政治不信に関する研究-政治離れおよび政治的態度・行動との関連性の分析
Project/Area Number |
12610120
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
原田 唯司 静岡大学, 教育学部, 教授 (10156507)
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Keywords | 政治不信 / 政治的関心 / 政治的知識 / 政治的有効性感覚 / 政治的態度 / 大学生 |
Research Abstract |
本研究は,青年の政治不信の構造や政治不信形成に関わる要因を検討し,政治的態度・行動との関連を明らかにすることを目的としている.これまで,調査Iにおいて政治的無関心,政治に対する主観的距離感および政治的無力感を測定する尺度を開発し,調査IIでは,青年の政治不信が"政治過程の不透明性"および"政治家・政党の反役割行動"に由来するものであり,これら2つの要素が政治的無関心や政治的知識,政治的有効性感覚との間に異なる関連性を持つことが示された.このことは政治的無関心や政治的有効性感覚の欠如が政治不信と直線的に結合しているわけではないこと,また,棄権行動など政治不信の具体的行動面での現れとしては同一であったとしても,それに至る心理的過程には個人差が存在することを示唆している.そうした個人差を説明する概念として想定されるのは,政治的関心や有効感など個人が自己の内的世界と政治で代表される外的世界との間の関わりについてどのような信念や態度を持っているか,すなわち個人と政治の世界との間の主観的距離の認知である.そこで本年度においては,個人と政治との間の主観的距離感を測定するための尺度を開発するとともに(調査III),政治不信を強く感じている者のうちで政治的関心が高い者と無関心である者とを選抜して,政治不信に至る経緯とそれに関わる個人的体験やエピソード,政治的関心が高いあるいは無関心であることと政治不信との関係についての自己評価や分析,現実の政治動向への注目の程度と意見・感想などを個別面接の方法を用いて逐語録を収集した(調査IV).その結果,両者の間には政治不信の程度や現実の政治動向,政治家・政党に対する認知的評価や政治的知識の程度には質的な差は認められなかったものの,政治に対して関心や知識を持つことの自身にとっての意味づけや自己と政治との結びつきの認知などの面で相違することが示唆された.
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Research Products
(1 results)