2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610122
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
外山 みどり 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (20132061)
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Keywords | 社会的認知 / 帰属過程 / 推論 / 認知バイアス |
Research Abstract |
本研究では、帰属判断における推論の非対称性を実証的に検討することを目的とするが、ここでいう非対称性には、人間の行動に対する帰属に際して、個人側の内的要因が過度に重視され、外的環境・状況の要因が軽視されやすいという、因果的なウェイトにおける非対称性と、判断にあたって、まず内的特性の推論が行われ、その後に状況要因を考慮に入れた修正が行われるというような、推論プロセスにおける時間的順序・優先性に関する非対称性の両者が含まれる。このような問題を検討するためには、内的・外的要因に対する注意の違い、両要因に関する情報の利用可能性、自動的推論、記憶における差異など、さまざまな側面からの吟味が必要となる。 本年度は初年度であるので、来年度以降の本格的な実験的研究に向けて、実験実施用コンピュータ・プログラムの作成や測定法の検討などの方法論的整備を行った。また予備実験を兼ねて、従来研究されてきた関連の研究課題に関するデータを収集し、理論的な考察を行った。 推論の非対称性の問題と関連した研究分野としては、行動記述を読んだり聞いたりしただけで、その行動が含意する内的特性を推論する自動的特性推論や、状況的な拘束力が強力である場面でも行動と対応する内的特性を推論する対応バイアスなどの問題がある。また、一般的な自己記述や他者記述に際して、どの程度性格などの通状況的内的特性を用いるかという問題も関連した研究テーマである。本年度は、従来の方法と同じく言語材料を用いた手法によって、対応バイアス、自己記述、自動的特性推論についてデータを収集し、それぞれの場面で内的要因が重視される傾向を確認した上、来年度の実験に向けて、概念的・方法論的な準備を行った。
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