2000 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダー・ステレオタイプの作用を規定する集団要因の検討
Project/Area Number |
12610127
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂田 桐子 広島大学, 総合科学部, 講師 (00235152)
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Keywords | ジェンダー / ステレオタイプ / セクシズム |
Research Abstract |
本年度は,否定的または肯定的ジェンダー・ステレオタイプの内容を把握してその社会的共有度を吟味し,ジェンダー・ステレオタイプの過去の知見と比較することによって,現代のジェンダー・ステレオタイプの内容が変容しているかどうかを検討した。 大学生・社会人被験者227名に,ジェンダー・ステレオタイプの内容を最大14個まで自由記述してもらい,各特徴の好ましさの程度を評定させると共に,各特徴を男性(女性)の何%が備えているかを推定するよう求めた。また,両価的セクシズム尺度(Glick & Fiske,1996)の日本語版を作成し,セクシズムの程度とステレオタイプとの関係も探索的に検討することを試みた。 これまでの分析で明らかになったのは次の2点である。 1.ジェンダー・ステレオタイプの内容として,性格特性,外見的特徴,および興味・関心領域等に関する記述が得られた。外見的特徴や興味・関心領域では伝統的で共有度の高いジェンダー・ステレオタイプが見られたが,性格特性に関しては,従来の知見ほど明確で共有度の高いステレオタイプ特徴は多くなかった。例えば,従来の知見で女性ステレオタイプ特徴とされていた「やさしい」という特徴は,男性ステレオタイプとしても同程度に挙げられていた。また,女性ステレオタイプの内容が否定的であるという結果は得られなかった。 2.両価的セクシズム尺度の日本語版の妥当性を検討したところ,Glick & Fiske(1996)と同様の因子が得られたものの,男性回答者の博愛的セクシズム因子得点と脱男性役割態度尺度(鈴木,1994)得点との間に負の相関が見られるなど,構成概念の妥当性には疑問が残る結果となった。
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