2001 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダー・ステレオタイプの作用を規定する集団要因の検討
Project/Area Number |
12610127
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂田 桐子 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00235152)
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Keywords | ジェンダー・ステレオタイプ / 結果依存性 / 感情 |
Research Abstract |
本年度は,5〜6名の男女混成課題遂行集団におけるジェンダー・ステレオタイプの作用について検討する予定であった。しかし,ステレオタイプに関する先行研究を検討した結果,(1)ステレオタイプ対象への結果依存性の認知(勢力認知)がステレオタイプの使用を抑制する可能性があること,および(2)ステレオタイプ対象との遭遇時に喚起される感情が,ステレオタイプ使用に影響する可能性があること,の2点が明らかになった。まず,これらがジェンダー・ステレオタイプにおいて確認されるかどうかを検討する必要があると判断したため,本年度は,男女のペアという最小単位の集団で,2回の実験室実験を行った。得られた知見は次の通りである。 (1)先行研究から,認知対象である異性の勢力が高い場合には,ジェンダー・ステレオタイプの使用が抑制されることが予想された。しかし,結果はむしろ反対であり,高勢力者(特に男性)の方が低勢力者よりステレオタイプ的に認知されていた。これらは,ジェンダー・ステレオタイプの内容の特殊性(男性=高地位,女性=低地位)を反映している可能性がある。 (2)先行研究から,ポジティブ感情が喚起されたとき,それが認知対象である異性に由来するものである場合(必然的感情条件)はネガティブなジェンダー・ステレオタイプが抑制されるが,認知対象と無関係に喚起された感情である場合(偶然的感情条件)には,むしろステレオタイプ認知を強めることが予想された。しかし,実験の結果,女性と一緒に課題を行う前にあらかじめネガティブな女性ステレオタイプを喚起された男性被験者は,必然的感情条件において,ポジティブな女性ステレオタイプ化を行っており,必然的ポジティブ感情のステレオタイプ抑制効果は見られなかった。感情の役割については,実験手続きを変えて再度検討する必要がある。
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