2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610138
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
市井 雅哉 琉球大学, 教育学部, 助教授 (10267445)
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Keywords | PTSD / IES-R / 耳の温度 / EHDR |
Research Abstract |
EMDRを適用するのに適切なPTSDレベルの被験者を抽出する目的で、国立大学で一般教養、教職の心理学の授業を受講する学部生625名に質問紙調査を行った。質問項目は、現在に影響を与えている過去の出来事、IES-R(改訂版出来事インパクト尺度)、治療を希望するかどうかからなっていた。有効回答は517名(男子、219;女子、289名;不明9名)で、平均年齢18.9(SD=5.25)であった。性被害、近親者の死等PTSDにつながる可能性が高いと思われる出来事を報告していた被験者はわずか8名であり、そのうち、2名のみが治療を希望した。交通事故、いじめ等比較的深刻な出来事を報告していた25名を併せた33名をトラウマ群(治療希望者は6名)、記載のなかった53名を不明群、トラウマとは思われないストレスを報告していた431名を健常群として、IES-Rの3因子と合計点に群差があるかを1元配置分散分析で調べた結果、合計点、侵入、過覚醒の下位因子において、群差は有意でなかった。回避・麻痺の下位因子のみにおいて、トラウマ群(13.70,SD=8.06)と健常群(8.05,SD=6.05)に有意差が見いだされた。従って、IES-RのみではPTSDクライエントの選別はかなり難しいと考えられ、外傷的出来事の聴取や他の指標との多面的な把握が必要と考えられる。 IES-R得点43(回避・麻痺12)の阪神大震災のPTSDクライエント(35歳女性)のカウンセリングに際して、耳孔内の温度を継続測定した結果、14回の面接の平均では、左右の温度はそれぞれ34.55℃、34.51℃で、有意な温度差はなかった.症状の軽快と、温度低下には関連がありそうであるが、前者を客観的に数値化する必要があろう。EMDRでは思わぬ記憶が想起されてクライエントが中断を希望したため、眼球運動が左右の温度差や温度変化に与える効果は不明である。
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