Research Abstract |
本研究は,平成9-11年度の研究を継承した3カ年計画の2年目として次のような研究を実施した. 福岡市教育委員会の協力を得て,福岡市立の2小学校(9学級10名の教師)を対象とし,学校毎に実施した.本年のリーダーシップ・トレーニングは,3回の調査(予備調査を含む)と,3回の集合研修(基礎研修,第1回・第2回PMトレーニング)と,3期間にわたる集合研修後の自己研修から成る. まず平成13年5月の予備調査では,生徒に「先生に止めてもらいたいこと」「先生にしてもらいたいこと」を無記名で自由記述させた.平成13年6月中旬に半日コースの基礎研修を実施した.内容は,講義,「止めてもらいたいこと」「してほしいこと」のKJ法による分類と分析,集団討議,行動目標決定,集団決定である.参加者は「止めてもらいたいこと」「してほしいこと」行動目標を設定して,夏休み前まで実践した. つぎに学級のグループ・ダイナミックスと担任教師のリーダーシップを把握する調査を実施した.第1回調査は,平成13年6月下旬に,2小学校の3-6年の生徒(9学級,304名)を対象に実施した.調査内容は,担任教師のリーダーシップ行動(20項目)とスクール・モラール(22項目),教師像,生徒の交友関係,教師のストレス,生徒のストレス等である.スクール・モラール項目は,学校に対する態度,学級連帯性,学習意欲,学級雰囲気の19項目である.P, M2因子とスクール・モラールとの関係は,従来のPM研究と一致して,スクール・モラール4因子とも,リーダーシップの効果性は,PM>M>P≧pmの順位であった.数量化理論第III類による教師像のパタン分類によると,望ましい性格特性・適切な行動とPM, M型,望ましくない特性・不適切な行動とP, pm型が一致することが見いだされた. これらの結果を基礎として,8月上旬にフィードバック・データの分析と集団決定法を中心とした半日コースの第1回PMトレーニングを実施した.学級における自己研修期間は,平成13年9月〜平成13年12月である.1ヶ月単位のリーダーシップ行動実践,実践行動の振り返り等の4ラウンドからなる.12月上旬に第2回調査を実施し,その結果を12月下旬の半日コースの第2回PMトレーニングで自己研修効果としてフィードバックし,前回同様の行動目標決定,集団決定を行った.さらに自己研修期間を平成14年1月〜2月まで2ラウンド実施し,8ヶ月に及ぶトレーニングの総括として,レポート「明日からの私のリーダーシップ行動」を3月中旬に提出して,トレーニングは修了する.
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