2000 Fiscal Year Annual Research Report
偽りの記憶の出現における情動性と想起様式に関する実験的検討
Project/Area Number |
12610146
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
高橋 雅延 聖心女子大学, 文学部, 助教授 (10206849)
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Keywords | 偽りの記憶 / 気分 / 活性化の拡散 |
Research Abstract |
1.実験材料の作成 実験に使用するためのニュートラル単語リスト(時計、重要など)と情動性単語リスト(友情、戦争など)の作成を行った。すなわち、実際には呈示しない各未学習語と強い連想関係にある単語を15語ずつ選択し、次に、これらの単語リストを視覚呈示し、それぞれの未学習語(偽りの記憶)の出現率を明らかにした。これらは、『偽りの記憶の実験のための情動語リスト作成の試み』として研究発表を行った。 2.実験1 作成した偽りの記憶リストの中より不快語リストを5リストと快語リストを5リストずつ選択した。次に、不快語リストを学習する群には、ネガティブ気分を誘導する音楽を聴取させながら、通常のリスト学習を行わせた。また、快語リストを学習する群にも、同様に、ネガティブ気分を誘導する音楽を聴取させながら、通常のリスト学習を行わせた。そして、これらの被験者群について、それぞれの気分誘導の効果と偽りの記憶の出現率の相関関係を調べた。その結果、不快語リストに関しては、ネガティブ気分喚起時には、不快な未呈示語の出現率が高くなるのに対して、快語リストに関しては、ネガティブ気分喚起時と快な未呈示語の出現率との間に相関が認められなかった。これらの結果は、偽りの記憶の出現が、活性化の拡散によって起こるという説を裏付ける結果であると解釈された。
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