2000 Fiscal Year Annual Research Report
実行機能の発達に関する基礎的研究-反応の抑制過程に注目してー
Project/Area Number |
12610149
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
土田 宣明 立命館大学, 文学部, 助教授 (40217328)
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Keywords | 実行機能 / 抑制 / 抑制機能 / 復帰抑制 |
Research Abstract |
平成12年度では,これまでの研究成果を基礎として,特に発達の前半期に焦点をあてて,抑制機能の形成過程を分析した.これまで用いてきた実験プログラムに修正を加え,幼児が楽しみながら実験に参加できるな形態を開発した.具体的な実験課題は次の通りである.刺激の提示に合わせて,左右の反応スイッチを押す場所弁別課題(Tanaka & Shimojo,1996)を個別で行うものである.はじめに注視点が視野の中心に提示され,その後注視点の左右(注視点から視角として10.7度の位置)に刺激がランダムに提示される.従来この種の実験で使用される刺激は,〇や□のような幼児にとっては,無味乾燥なものであった.そこで,本研究では,刺激としてテレビの人気キャラクターである「アンパンマン」と「バイキンマン」を使用した.そして,「バイキンマン」が出てきたら,「ミサイルのスイッチを押してやっつける」といった場面(situation)を設定し,幼児でも楽しめる課題の中で,その反応抑制の過程を分析した.実験の結果,幼児期においても復帰抑制(inhibition of return)の現象が確認された. さらに平成12年度は,福祉機器メーカーである城南電器開発センター(中園正吾氏)の協力のもと,負のプライミング効果(negative priming effect)をみる実験プログラムを共同開発した.これについても来年度以降,高齢者・大学生を対象とした実験と併行してデータを収集する予定である.また,今年度,実行機能をみる課題のひとつであるGordon Diagnostics System(以下GDSとする)を購入し,予備実験を試行した.実行機能をみる課題として定評の高いこのGDS課題と,現在開発中の実験課題との関連性をみる中で,データの妥当性を確認する予定である.
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