2000 Fiscal Year Annual Research Report
アジアの教科書に見る発達観の文化・歴史的文脈:日本・台湾・バングラディシュ・韓国・中国・タイの国語教科書に描かれた発達観の文化・歴史的な比較
Project/Area Number |
12610158
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Research Institution | Heian Jogakuin(St.Agnes')University |
Principal Investigator |
塘 利枝子 平安女学院大学, 現代文化学部, 助教授 (00300335)
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Keywords | 教科書 / 児童期 / 発達観 / 性役割 / 対人関係 / アジア / 社会化 / 異文化間比較 |
Research Abstract |
1.学会発表 International Society for the Study of Behavioral Development 16th Biennial Meetings(2000)において、"A Content Analysis of Interpersonal Coping-Behavior in Japanese and Taiwanese Primary School Textbooks:Cross-cultural Study in Asia"と題して発表し、日本、台湾の教科書に描かれた対人関係について、primary-secondary controlの観点からアジア地域における文化間比較を行った。またInternational Congress of Psychology(2000)において、"Cultural Comparison in Asian and European Textbooks:Sex role of child-rearing service"と題して、日本、台湾、ドイツ、イギリスの教科書に描かれた子どもが受ける育児サービスと育児役割の世代間伝達の観点からアジアと欧州の文化間比較及びアジア内の文化間比較を行った。さらにGerman-Japanese Society for Social Sciences(2000)において、"Cultural Comparison in Asian and European Textbooks:Sex role of child-rearing service"と題して、日本、台湾、ドイツ、イギリスの教科書に描かれた対人関係についてアジアと欧州の文化間比較及びアジア内の比較を行った。 2.アジアにおける多様な文化の存在 多くの国際比較研究では、欧米とアジアの国々とを比較することが多く、その際に認められた行動の差異は、欧米とアジアとの「文化」の違いであると説明されてきたが、本課題では特にアジア地域に焦点を当て、アジアで使用されている教科書に投影された文化を比較することにより、その多様性を明らかにしてきた。その結果、アジアでも家族関係、育児における性役割、親役割、子どもに期待する対人関係において多様な違いが見られることが明らかとなった。 3.文化システムと人間の行動との関係 教科書に描き出された人間の行動は、各国の社会・経済的な要因や歴史的な要因と関連している。現在歴史的な観点から分析をしており、今後さらに詳しく検討していく予定である。 4.本課題に関する今後の発表予定と研究方向 本課題は研究の1年目に当たり、本年では教科書の内容を実際に分析することが主目的であった。今後は(1)各国の1960年の教科書と2000年の教科書の内容を比較すること、(2)文化システムとの関係を文化間のみならず、時代間で見ていくこと。(3)現実の子どもと教科書に描かれた子どもの行動との関係を探ること、などについて検討する予定である。
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Research Products
(1 results)