2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610163
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
宇野 彰 国立精神・神経センター, 知的障害部, 室長 (10270688)
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Keywords | 学習障害 / スクリーニング検査 / 標準値 / 読み / 書き / 発達性難読症 |
Research Abstract |
学習障害児は全般的知能は正常だが、「読み」や「書字」など特定の能力のみが障害されている。先天性障害と考えられ、われわれの局所脳血流量を測定した研究では例外なく局所性の大脳機能障害が認められていた。しかしその実態はまだ明確でなく、学習障害児の出現頻度や科学的根拠に基づいた効果的なトレーニング方法についてはほとんど報告されておらず、ほとんどは定性的な報告である。その大きな原因の一つに簡便かつ標準的な検査方法が確立されていない、という現状が有ると思われる。 研究初年度の本年度は、検査バッテリーの作成を中心に行った。すなわち、地域の市教育センターのご協力により、以下の項目に関して公立小学校各学年約100名の小学生に施行した。また、某県の公立小学校にて2.4.6年生各20名ではあるが言語機能検査である標準失語症検査の小児への適用を終えた。 英国での認知神経心理学者であるDr.Wydellとの打ち合わせ会議(8月東京、1月ロンドン)を通して、国際的に通用し比較可能な検査方法の作成を開始した。 (1)検査バッテリーの作成 1)約5分で可能な成人用知能検査(レイブン色彩カラーマトリシス)の小児への適用の試み 2)ひらがなとカタカナ-文字の音読と書字(それぞれ20文字) 3)共通の単語を用いての漢字、ひらがな、カタカナの書字および音読検査(それぞれ20単語) 4)抽象語彙理解力検査(40語)の作成 5)K-ABCから音読と理解に関する検査項目の選択 6)ディープテストとしての標準失語症検査の小児への適用 (2)健常データの収集(一部) 地元の市教育センターと小学校校長のご協力により、健常児童各学年100名のデータを収集し、比較しうる標準値を一部作成した。
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[Publications] 井澗知美,宇野彰: "かなに比べて漢字に強い読み書き障害を示した一例"小児の精神と神経. 41巻1・2合併号(印刷中). (2001)
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[Publications] Katsushi Yamada,Kimitaka Kaga,Toshihiro Tsuzuku,Akira Uno: "Long-term Changes in Middle Latency Response and Evidence of Retrograde Degeneration in the Medial Geniculate Body after Auditory Cortical Ablation in Cats"Acta Otolaryngol. 120. 744-749 (2000)
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[Publications] A.Uno,M.Kaneko,N.Haruhara,M.Kaga: "Disability of phonological and visual information processing in Japanese dyslexic children"International Conference on Spoken Language Processing. 2000(2). 42-45 (2000)
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[Publications] 福永真哉,宇野彰,安部博史,服部文忠,平田幸一: "伝導失語例の改善機序と障害メカニズムについて"言語聴覚療法. 16巻1号. 1-10 (2000)
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[Publications] Kenji Itoh,Masato Yumoto,Akira Uno,Takahide Kurauchi,Kimitaka Kaga: "Temporal stream of cortical representation for auditory spatial localization in human hemispheres"Neuroscience Letters. 292(3). 215-219 (2000)
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[Publications] 堀口寿広,宇野彰: "学習障害(LD)児および周辺児・者の家族が求める医療、教育、福祉的援助"脳と発達. 32(4). 307-311 (2000)
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[Publications] 加我牧子,稲垣真澄,宇野彰: "<新版>小児のことばの障害"医歯薬出版. 234 (2000)
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[Publications] 宇野彰,波多野和夫 編集・執筆: "高次神経障害の臨床最前線"医学書院(印刷中). (2001)