2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610168
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
桜井 厚 千葉大学, 文学部, 教授 (80153948)
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Keywords | 団塊の世代 / ライフヒストリー / 男らしさ / 性別役割分業 / 会社人間 |
Research Abstract |
本年度は、この研究課題の研究期間(平成12年度〜14年度)の初年度にあたり、おもに「団塊世代の男性」へのライフヒストリー・インタビューと文献収集をおこなった。関西圏、中京圏、首都圏在住の該当世代(昭和22年-25年生まれ)の男性9人(うち、非婚者1名)にのべ11回のインタビューをおこない、それをもとにトランスクリプトを作成した。語られた内容は、それぞれ多岐にわたるが、おおよそ、生まれた家族の状況、教育学習環境、就職と仕事内容、働き方、結婚後の夫婦関係と子育て、性別役割分業観などに、ふれるものとなった。分析や解釈をくわえるには、なお今後のインタビューの継続によって対象者を増やすとともに、同一人物への再インタビューなどでより詳しいライフヒストリーを作成する必要がある。 さて、この世代は、一般的に男性のサラリーマン化に対して女性の専業主婦化がもっとも進んだ世代といわれている。インタビューでも、男女平等意識はもっているものの、現実の性別役割分業には肯定的で、とりわけ男性の家事参加はきわめて低い。意識と実践のずれがはっきりしている。また、ほとんどが仕事に追われる年代であるが、現在の不況期においてより過重な仕事を強いられる人も出てきている一方で、これまでの働き方を反省的に振り返る人もいる。定年後の生き方においては、かならずしもだれもが妻や子ども家族と仲良く暮らすことを願っているわけでなく、むしろ一人で生きたいなどの願望もみられた。 来年度の調査にあたっては、これまでのライフヒストリーを分析し、「男らしさ」のカテゴリーを整理したうえで、それらをもとに今後のインタビュー対象者と内容の限定をおこなう必要があるだろう。
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