2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610168
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
桜井 厚 千葉大学, 文学部, 教授 (80153948)
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Keywords | 団塊の世代 / ライフヒストリー / 男らしさ / 性別役割分業 |
Research Abstract |
本年度は、当該研究課題の研究期間(平成12年度〜14年度)の2年目にあたり、昨年度におこなったライフヒストリー・インタビューのトランスクリプトの読み込みと同一人物への再インタビュー、さらに新たな対象者へのインタビューをおこなってトランスクリプトを作成した。インタビュー対象者は団塊世代の男性であることが基本だが、「男らしさ」の特徴を明確にするために団塊世代(昭和22年〜25年生まれ)のすぐ後の世代に属する男性、また団塊世代の男性の妻(団塊世代と異なる場合がある)にも一部インタビューをおこなっている。インタビュー対象者は昨年度と合わせて計19名に及ぶが、そのうち団塊世代の男性は16名になる。 今年度は、ライフヒストリー・インタビューにおける分析、解釈の方法を洗練するための研究を並行しておこない、研究課題とは直接関連はないもののインタビューの方法論を洗練した『インタビューの社会学』(せりか書房、2002年1月刊)にまとめた。ここで整理された枠組みを、トランスクリプトの分析、解釈に活かすように努めている。 インタビューの対象者は、当時の大学進学率が20%前後であったことを考えると、ほとんどが大卒であって相対的に高学歴層である。その意味で偏りはみられるが、ジェンダー意識に学卒が大きな影響要因であるかどうかは疑わしい。むしろ、性別役割分業意識は学歴にかならずしも相関しないとする見方が有力である。そうした社会的背景をふまえながらも、人びとがどのように自己と自分の生活史を解釈し、ジェンダー意識をはぐくんでいるのかが研究の焦点となる。そのためには、夫婦関係や家族のあり方、仕事への関わり方、リタイア後の生き方などから、人びとが男らしさのカテゴリーをどのようにとらえているかを、これまでの既存研究での語られ方と対比しながら検討し、さらにインタビューにおける語り方の特質を語りの強調や矛盾に注目しながら引き出す必要がある。 最終年度にあたる次年度は、文献整理と追加的インタビューをおこないながら報告書を完成させることになる。
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