2001 Fiscal Year Annual Research Report
現代家族にみる家事の実態・意味・感情に関する実証研究(質的調査の実施と分析)
Project/Area Number |
12610173
|
Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
山根 真理 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (20242894)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 礼子 関西大学, 社会学部, 助教授 (50240049)
藤田 道代 大手前大学, 社会文化学部, 教授 (00219023)
斧出 節子 華頂短期大学, 生活学科, 助教授 (80269745)
|
Keywords | 家事 / ネットワーク |
Research Abstract |
本研究の目的は、家事に関するインタビュー調査を実施・分析し、すでに収集、分析している統計データとあわせて、現代家族において家事が男性および家族の外部に広がる可能性および、未来社会における家事の社会的編成について総合的に考察することであった。昨年度は、兵庫県神戸市および城崎郡において、男女それぞれ5名、計20名の人に対してインタビュー調査を実施した。 今年度はインタビュー調査データの分析と解釈を行い、それを統計的データをあわせて考察し、学会報告および報告書の形で成果公表した。また課題を進める一助とするために、関連する研究を行っている研究者を招き「近世大商家から近代財閥へ-家・同族論の観点から-」というテーマで公開セミナーを実施し、本課題と関連づけた議論、研究交流を行った。 インタビュー調査から得られた主要な知見は、以下の通りである。(1)現代家族において女性が家事を主に担うのは、性別役割分業規範によるのではなく、家事を行うことにより女性たちがジェンダー・アイデンティティを得るというメカニズムが働くからである。(2)男性が家事を行う文脈として親の介護というライフステージ要因が有力である。(3)男性の家事に対する意味づけは市部と郡部で異なっており、市部では職業領域/家内領域という近代的領域分離が明確であるが、郡部では外仕事/中仕事という農業や地域の役割も含んだ労働分離概念が用いられている。(4)女性の就労は女性の性別役割分業意識を変容させるが男性の性別役割分業意識変容には結びつかない。(5)公共領域/家内領域に対する意味づけはジェンダーおよび社会階層によって異なり、それが介護に対する考え方と結びついている。 今後さらに、論文等のかたちで成果公表を行う予定である。
|
-
[Publications] Yamato, Reiko: "Preferences for personal care in Japan : the influences of gender and socioeconomic status"The International ScopeR Review <http://www.internationalscope.com/journals/synopsis.htm. Vol.2,Issue 4. 1-12 (2000)
-
[Publications] 山根 真理: "家族社会学の分析視角(野々山久也・清水浩昭編著)"ミネルヴァ書房. (2001)