2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610178
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小谷 朋弘 広島大学, 法学部, 教授 (60106789)
|
Keywords | 離婚紛争 / ドメスティーノク・バイオレシス / D.V / シェルター |
Research Abstract |
今年度は、離婚紛争の処理過程の重要な局面である、民間女性シェルターの調査研究を実施。わが国のシェルターは、その必要性が社会的に認識され始め、7、80年代には関東に7カ所であったものが、90年代に増加し、今日全国で20数カ所の開設をみている。今回の調査は、90年代開設の、17カ所のシェルターにかんするものである(北海道地区5、東北地区1、北陸地方1、関東地区3、中京地区1、関西地区3、九州地区3)調査から得られた主な知見は以下の通り。 1.シェルターはいずれも、收容能力が小さく、需要の多さに応えきることができない状況にある。規模の小ささの原因はやはり、財源の問題である。シェルターとしてのマンションや住宅の借り賃やスタッフの手当など、乏しい財源では困難が大きい、そのため縁故によるシェルター施設の借り上げ、非常勤スタッフによる運営なとが多くみられる。 2.シェルター単独による救済活動には限界があり、婦人相談所などの行政組織、フェミニスト・カウンセリングの団体、さらにはDVに関心をもつ弁護士グループとの連携を深めつつあり、いわばDVネットワークが構築されつつある。 3.離婚紛争との関係でみると、多くのシェルターでは、暴力夫との離婚を援助しており、スタッフの付き添いや弁護士の関与などが行われている。法律専門職である弁護士の関与は、調停や裁判のみならず、当事者同士の話し合いである協議離婚においても、大きな効果を生みだしている。ただ問題は、弁護士費用を法律扶助に頼っているが、その返還負担も小さくはないことである。
|