2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610179
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鈴木 譲 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (40281753)
|
Keywords | 法律観 / 倫理観 / 国際比較調査 |
Research Abstract |
平成13年度は、ISSP (International Social Survey Program)のデータを用いて、計量的分析を行った。なお、計量分析を行うに先立ち、法律観と倫理観が社会心理学、特に精神分析学においてどのように扱われているかを文献調査によってまとめた。ISSPにおいては毎年調査テーマが設定されており、今回は「政府の役割」をテーマにした調査データが分析のためには適切である。このテーマは1895年、1990年、1996年においてそれぞれ設定されており、これらの年のデータに焦点をしぼることとした。分析においては、2つの方法を用いた。1つは時系列的な分析方法である。ただし、対象となる調査年が3回であるので、時系列回帰分析などの手法は用いることができず、3年分のデータを比較しての解釈が中心となった。2つ目は国際比較による分析方法である。これは、同一年において異なった国のデータを比較することによる比較分析である。ただし、調査対象となった国は毎年同一ではない。1985年においては、6ケ国であった調査対象国は、1990年には11ケ国になり、1996年には24ヶ国に増加している。このため、すべての国を比較調査の対象とすることはできず、結果としては最初から調査対象となっている6ヶ国を中心として比較分析を行った。ロジスティック回帰分析を各年に関して行った結果、ほとんどすべての国において、宗教的信仰のある回答者は無宗教の回答者に比べて、法律観を優先する傾向があることが示された。これは、回答者の法律観が実定法よりも自然法の考えに近いことを示唆している。ただし、統計的有意性に関しては、国と年によって結果は必ずしも有意ではなかった。これは、標本において認められた傾向が必ずしも母集団にはあてはまらない場合があることを示唆している。
|