2000 Fiscal Year Annual Research Report
廃棄物処分場の立地をめぐる住民紛争と合意形成の比較研究
Project/Area Number |
12610181
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
戸田 清 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (50301362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 恭子 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (20325674)
生野 正剛 長崎大学, 環境科学部, 教授 (80128149)
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Keywords | 廃棄物焼却炉 / 廃棄物最終処分場 / 情報公開 / 説明責任 / 紛争 / 資源動員論 / 住民合意 / 争点 |
Research Abstract |
廃棄物の中間処理施設(焼却炉)および最終処分場(埋め立て地)の立地をめぐる紛争の比較研究を行ってきた。長崎県諌早地区、福岡県甘木朝倉地区、福岡県古賀地区、福岡県宗像地区の紛争は、厚生省のごみ処理広域化計画(1997年課長通達)にもとづく県の広域組合の一般廃棄物焼却炉の立地計画をめぐる紛争である。諌早地区の組合聞き取りと住民聞き取り、甘木朝倉地区の組合聞き取り、住民聞き取り、裁判傍聴、古賀地区および宗像地区の住民聞き取りを行った。福岡県久留米市の紛争は、久留米市の一般廃棄物最終処分場の立地計画をめぐる紛争であり、裁判傍聴と住民聞き取りを行った。長崎市三方山の紛争は既存の産業廃棄物および一般廃棄物の最終処分場による汚染等をめぐる紛争であり、裁判への参与観察を行った。 以上3類型6地区の紛争に共通しているのは、紛争の争点が大別して(1)施設の社会的経済的必要性、(2)技術面環境面の妥当性、(3)民主的手続きの正当性、にわたっていることであった。4地区のごみ処理広域化紛争をみると、(1)についてはごみ減量化・分別(循環型社会形成政策)と大型焼却炉立地の整合性などが、(2)についてはガス化溶融炉の技術的完成度やダイオキシン削減対策の実現可能性などが、(3)については複数の候補地から合理的な選定基準にもとづいて絞り込む形になるべきはずのプロセスの透明性、情報公開と住民参加、技術面安全面にかかわる説明責任が果たされた度合いなどが、いずれの事例でも問われていた。それが、甘木朝倉と古賀で提訴に至り、宗像もまもなく提訴することの背景である。住民運動における資源動員の観点では、古賀地区の原告団に九州大学、九州工業大学および福岡工業大学の理系教官が参加して準備書面等の理論的強化をはかっていることが特筆される。広域化以外の2件の紛争でも争点構造は類似していた。
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