2001 Fiscal Year Annual Research Report
代替的癒しの現代的展開に関する研究-我が国近代との比較を通して-
Project/Area Number |
12610196
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Research Institution | International Budo University |
Principal Investigator |
田邉 信太郎 国際武道大学, 体育学部, 教授 (40188363)
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Keywords | 代替的癒し / 代替知 / 癒し / 現代日本 / 近代化 / 代替医療 |
Research Abstract |
本研究は、我が国において新しい社会・文化運動の様相を示しつつある代替的癒しの思想と実践について、主として我が国近代における同様の思想と実践との比較検討を行うことにより、その歴史的同質性と異質性を明らかにすることを目的としている。またそれらの作業を通して、代替的癒しが社会・文化の近代化に対応するように、時代の伏流として存在してきたこと、及び近代化のピークに達したかに見える現代(特に1970年代以降)において、新たな装いをもって登場・展開してくる必然性と意義、そして課題も明らかにする。 本年度は、主として戦後から1960年代までを範囲として、我が国の代替的癒しの盛衰について、資料的調査を中心に研究した。この時期は、戦後の混乱とそこからの一定の分化と再編、一部の代替的癒しをめぐる法制化や法制上の象徴的出来事の生起、また一部の代替的癒しのマスメディアによる大衆的認知や国際化の端緒の動きというように、後の本格的大衆社会化、国際化による代替的癒しの新たな展開への前段階として、後につながる重要な論点を惹起した時期である。すなわちこの時期に、戦前のゆるくまとまった流れが社会体制の変換により解体再編を余儀なくされ、いっそうの近代化の中で、近代的体制に対してそれぞれのスタンスを問われることとなり、大別して近代知への編入、宗教知への編入、代替知としての維持、非医療領域への転換というように、それぞれ主軸の異なる選択へと分岐したことが窺われる。今後、これらの考察を基にして、今日に直接的な影響を与える1970年代の考察へと進む予定である。
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Research Products
(1 results)