2003 Fiscal Year Annual Research Report
アフォーダンス概念の拡張によるグローバルでローカルな環境のデザイン
Project/Area Number |
12610199
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小川 葉子 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (70286649)
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Keywords | コミュニケーション・ストラテジー / 都市社会基盤における環境リスク / グローバライゼーション / 社会的弱者のアフォーダンス / 持続可能な開発 / メディアとコモン・カルチャー / ユニヴァーサル・デザイン / アレルギー・環境関連疾患 |
Research Abstract |
1.「アフォーダンス」概念を社会的に拡張するとともに、「持続可能性」概念との接点を探ることにより、グローバルでローカルな環境のデザインを可能にするコミュニケーションの諸要件を検討してきた。 2.理論的な探求と同時に学生たちの知識創造プロジェクトの運営を両輪として研究をすすめてきた結果,多文化・多共生をこえたグローバルとローカルが相互作用するようなリフレクシヴなデザイン実践をうみだすには、以下の3様相のコミュニケーション・ストラテジーが想定できるという考えに至った。 すなわち、1)ユニヴァーサル・デザインや逆にローカルなオルタナティヴ技術の再評価,さらに通常のコミュニケーション手段にアクセスできない者たちの参与を促す、新たな環境,メディア,芸術などの共同知のデザインプロセスやクリエイティヴな実践における「創発的コミュニケーション」,2)WHOやEUなどのグローバルな環境基準や有機食品認証などの制度確立,教育・医療現場や職場,購売活動における配慮やインタラクション,公共交通移動空間や他者との近接空間でサヴァイヴァルするための「リスク回避のコミュニケーション」,3)消費者相談センターへのクレイム申し立て、有害物質使用禁止のグローバルな規制や途上国生産者の健康搾取の防止、行政や企業、ひいては市民の社会的責任や倫理を問う政治経済文化活動などにみられる「システム変革のコミュニケーション」などである。 3.今後は、グローバルなフローが錯綜したローカルな帰結として、身体の免疫・神経・内分泌系統にかかえる環境関連疾患をもつ者たちによる文化と環境の再創造の営みを上記の3つの観点から検討してゆきたい。さらに、理論的には、「ユニヴァーサル」および「コモン」概念に注目しつつ、グローバルでローカルな環境のデザインにおける「リスク」と「アレルギー」を日本・EU、特に北欧のメディアと都市建造環境との関連で、超文化的および進化論的視点をふまえて考察する予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 小川(西秋)葉子: "グローバライゼーションと免疫不全の臨床美学:リスク環境の共有化におけるアレルギー文化とサステナブルな<生>のスタイル"消費文化とポストモダニズム(M.フェザーストン、小川・川崎編著訳). 下巻(解説). (2003)
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[Publications] 小川(西秋)葉子: "グローバライゼーションと文化のエージェンシー:カルチュラル・スタディーズと表象の場を1から逆照射する"講座・社会変動:情報化と文化変容(正村俊之編). 第6巻(第6章). (2003)
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[Publications] OGAWA NISHIAKI, YOKO: "Hanging on the Edges of Times : Globalization and its turblent relation with action and calender time in three cities"Research Commitee 21 : Sociology of Urban and Regional Development, XV World Congress of Sociology, International Sociological Association. Session4 : Narrating Globalisation. (2002)
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[Publications] 小川(西秋)葉子: "グローバル・リフレクシヴィティはいかにして可能になるか:環境の『構築』におけるコスモポリタンとローカル,そしてユニヴァーサル"第49回関東社会学会 テーマ部会C「グローバリゼーションと市民社会」. (2001)
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[Publications] OGAWA NISHIAKI, YOKO: "Global Communication as telepoiesis : Recursivity and Negotiation of/in talking time-spaces in global-local relations"Oxford Kobe Seminars The International Symposium on Immigration Policy in Japan, EU and North America, Seminar Programme and Pre-print of Papers. 142-144 (2001)
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[Publications] OGAWA NISHIAKI, YOKO: "Taming Global Environment/Re-appropriating Techno-Science : Hierarchies of technologies and flows of culture in sustainable automobile design"The Society for Social Studies of Science and the European Association for the Studies of Science and Technology Joint Conference 2000, Final Abstract Book. Session : Investigating Design Process. 125 (2000)
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[Publications] M.フェザーストン著, 川崎賢一, 小川葉子編著訳: "消費文化とポストモダニズム 上巻・下巻"恒星社厚生閣. (2003)