地方自治体における高令者の生活福祉場の組織化に関する臨床社会学的研究

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12610204
• Research Institution: Toyo University
• Principal Investigator: 小林 幸一郎 東洋大学, 社会学部, 教授 (10057995)
• Keywords: 高令者生活福祉場 / 市社協の位置的構造 / 性別役割分業

Research Abstract

1.旭川市社会福祉協議会が取組んだ地域福祉実践事業活動を時系列的に事業内容の設定のされ方,決まり方の視点から考察すると,国や市の行政機関および全社協・道社協の上位機関からの指針や指定-受託という形式をとっている。そのうえ市社協は行政・上位機関と地域生活の中間に位置する構造をもっている。この位置的構造が設定の仕方に不確定性をもたらし,事業型社協への取り組み方を決定している。市場性の地域生活への浸透である。
2.地区社協もまたその位置的構造は中間的であり、かつ町内会,地区民協,地域団体などとの共存する場所に位置している。そのことが地区社協の活動,具体的には「ともだちつくろう声かけ運動」と「ふれあいランチ懇話会活動」のありかたと組織化に地区の特性を色濃く反映させている。民生委員を中心とするか,町内組織を核とするか,あるいはボランタリーな集まりを中心とするかに母体が分かれ,リーダーシップパターンも異なる。また性別役割分業が見られ女性中心か男性中心の運営に分かれる。この両者を軸として交叉した所に生活福祉場の組織化の中心がおかれている。
3.福祉実践を反省的にとらえる社会学的認識を実践することの有意味を実感すると同時に,困難さをも痛感した調査である。